本研究では、ナイキスト基準を超える送信レート(FTN: Faster-than-Nyquist)で信号を伝送する技術を開発し、これにより周波数帯域やアンテナ数などを増大させることなく送信レートを向上することを目的とする。最終年度である平成27年度は、以下の項目について研究を実施し、関連する成果を得た。
・提案FTN復調アルゴリズムの改良と誤り訂正符号設計指針の確立 本項目では、平成26年度に開発の低演算量FTN復調アルゴリズムのさらなる改良を行い、受信性能向上を行った。さらに、FTNシステムに適した容量に近い性能を達成する符号化手法を検討した。具体的には、前年度考案の復調アルゴリズムはFTN特有の有色熱雑音の影響を無視していたため、送信レートが高くなるにつれて性能ロスが大きくなる。ここでは、受信演算量を増大させることなく、有色熱雑音の影響を考慮した、FTN復調アルゴリズムを提案した。さらに、従来FTN復調アルゴリズムとの比較を行うことにより、提案アルゴリズムの優位性を定量的に明らかにした。 これらの成果の一部については同分野トップカンファレンスへの投稿を行い、既に採録が決定している。
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