研究課題/領域番号 |
26630171
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
廣川 二郎 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (00228826)
|
研究分担者 |
永妻 忠夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00452417)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | アンテナ / サブミリ波 |
研究実績の概要 |
300GHz帯積層薄板2層構造中空導波管スロットアレーアンテナおよび直線導波路・共振器をシリコン加工技術により製作した。アンテナおよび直線導波路・共振器は概ね製作できたが,一部破損等が見られた。直線導波路の350GHz付近での伝送損失は0.9~1.3dBとなった。表面の金メッキの実効導電率は2.6~5.4x10**7S/mと見積もれた。2つの共振器の共振数周波数はそれぞれ351GHzと345GHzとなり,設計の350GHzに近い値が得られた。Q値はそれぞれ970と780であり,これらから見積もられた実効導電率は4~5x10**7S/mとなった。また共振器の伝送量はそれぞれ-26.5dBと-30.5dBであり,換算の実効導電率は1.6~3.8x10**7S/mとなった。3つの換算値にばらつきが見られるので測定法を向上させる必要がある。現時点で1.6 x10**7S/m以上が得られ,金の基準導電率4.5 x10**7S/mの35%以上の高い値となっている。アンテナは16x16素子アレーを1個試作したが,未測定である。 上記の試作アンテナ、導波路、共振器の評価技術において,周波数が300GHzと高い(波長1mmに対応する)ことから小型の簡易電波暗室を構築するとともに,300GHz帯のスペクトラム計測の高速掃引技術を開発し,測定時間の大幅な短縮(1測定当たり,15分から5秒)に成功した。また、スロットアレーアンテナの応用技術の一環として、近接無線への適用を検討し、同アンテナがホーンアンテナよりも安定した近接無線を実現できることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンテナに関しては,現時点で製作が完了し,精度のある製作法の確認ができたが,まだ未測定である。導波路に関しては,予定通り,長さの異なる導波路の伝送測定だけでなく,共振器も試作してその伝送測定を測定した。300GHz帯で良好な導電率特性が得られた。測定に関しても,効率よく高精度なシステムを使用して行うことができた。H26年度の目的をほぼ達成した。
|
今後の研究の推進方策 |
アンテナの測定を行い,その結果を踏まえ,アンテナの製作法,設計法の改良を行っていく。また,多素子のアンテナにおいて,長くて細いパターンがあるので,そのような強度的に弱い部分を製作する手法を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
H26年度末現在ではアンテナ試作は行ったが測定が完了しておらず,H27年度にアンテナの結果がうまくいった後に本格的な通信実験を行うため。
|
次年度使用額の使用計画 |
通信実験での増幅器等の電気機器に使用する。
|