研究課題/領域番号 |
26630178
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金井 浩 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10185895)
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研究分担者 |
石垣 泰 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50375002)
長谷川 英之 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (00344698)
瀧 宏文 東北大学, 医工学研究科, 講師 (40467460)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 赤血球凝集 / 超音波後方散乱 / 手背静脈 / 糖尿病 / 炎症 / 血液性状 / 正規化パワースペクトル / レーリー分布 |
研究実績の概要 |
(1) In vivo実験 手背静脈を計測対象とし、安静時に1分間、駆血を行い2分間、それぞれ10秒間隔でRF信号を取得した。健常者3名の推定散乱体サイズ経時変化を非同一日に3回計測し平均値と標準偏差を求めた。その結果,安静時では赤血球単体の8~10 ミクロンに近いサイズに推定され、駆血時では凝集により散乱体サイズが増加した。 一方,糖尿病患者26名を、1型糖尿病と2型糖尿病で分類し、さらに2型糖尿病について、インスリン治療の有無と血栓溶解剤治療の有無で群分けをした。各糖尿病患者について、血液検査により得られたHbA1cの値と、本手法により推定された駆血時(100秒から180秒)の平均散乱体サイズの関係を求めた。糖尿病専門医が3段階で評価した血管合併症の程度による重症度を参考にした。HbA1cと散乱体サイズに高い相関は見られなかった。これは、糖尿病患者が多くの合併症を併発していることにより、赤血球凝集度には血糖の高さを示す指標であるHbA1c以外の要因が影響しているためであると考えられる。一方で、インスリン治療と血栓溶解剤治療を両方受けている患者については、重症度が高いと考えられ、駆血時の平均散乱体サイズが大きな値を示した。これは、糖尿病の重症度の影響が赤血球凝集度に現れたことを示している。 (2) 総括 超音波パワースペクトルの正規化よる散乱特性抽出において、参照スペクトルの算出法を改善し、散乱体サイズ推定のロバスト性を向上した。さらに、in vivo計測において健常者と糖尿病患者に本手法を適用し、超音波散乱体サイズ推定による赤血球凝集度評価の臨床応用の可能性を示した。今後,肥満・糖尿病・高血圧・動脈硬化・伝染病・敗血症・アレルギーなどによる炎症と赤血球凝集発生のし易さの相関関係も調べる意義が見出された。
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