研究課題/領域番号 |
26630181
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
牧野 秀夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80115071)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 傷病者 / 救命救急 / 位置検知 / ETC / 可視光通信 / GNSS |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,災害現場において重篤傷病者位置を自動探査・転送するセミアクティブ型救命救急位置検知システムの開発である.具体的には,1)ETC型送受信機を用いた移動検出,2)照度変化を利用した移動検出,及び3) 準天頂衛星時刻同期型振動センサによる移動検出法を検知に利用する.ここでは,外部からの入力に応答する形で動作するセミアクティブ方式により,情報送信,超急性期の動作を保証するための72時間の連続運転,それらの情報の可視化を実現する.そのために,それぞれの実験機器の組上げ,位置推定アルゴリズムの検討と実装,さらに実験による空間マップの作成を行っていく. 平成26年度に於いて,1)と2)については,それぞれ従来の企業との共同研究により基本となるハードウェアを実現した.一方,3)の振動解析は,人間や物の動きを対象に,医療従事者の動き,装着する照度センサの出力との関係,あるいは振動の時系列的な空間マップの作成などを重点的に検討し,動き検出に関する基本データを収集・解析した. まず1)の検出用ハードウェアの試作については,ETC型送受信機の基地局側送受信機についての連続動作,車載器側の外部入力回路の増設とドライバソフトの開発を実施し,動作実験を行うことができた.また,照度検出については,ストレッチャーや医療従事者への取り付け位置,情報送信に使用するLED照明器具の設置方法などを検討した後に,実験を行うことができた.振動解析の基本システムについては,高精度センサと直流増幅器を3セットを使用して基本的な振動検出を行った.また,準天頂衛星を含むGNSSから正確な時刻信号を得るための受信実験を行った.これらの成果は,平成26年度電子情報通信学会信越支部大会ならびに平成27年度日本測位航法学会全国大会等で発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)のETC型送受信機を用いた移動検出については,傷病者の搬送を想定した実験に於いて移動経路を各計測点で自動計測した.またそれらをネットワークを通じて自動送信するシステムを開発した.検出部分については学会発表を行っている.2)照度変化を利用した移動検出では,専用に開発した小型可視光受信機をストレッチャーに取り付けた状態で学内のテストベッドに於いて移動経路に伴う測位実験を行い動作を確認した.それらの一部は学会発表も行った.3)の 準天頂衛星時刻同期型振動センサによる移動検出法については,振動検出に関する基本実験を行いその成果を学会発表用にまとめている途中である.以上の理由により,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度で得られた成果を基に,システム全体の評価・改良ならびに測位アルゴリズムの改良を行う.特に動作確認と動作環境における問題点を検討し設計へフィードバックする.ここでは,災害発生時の現場救護所を想定し,医療従事者追跡動作を検討する.さらに,社会基盤化としての提言のために,今回の振動解析を用いた測位推定過程を製品開発に応用するために協力企業と協議する.具体的には,各項目単位で装置と開発アルゴリズムの修正を行い,同時に学会発表と論文投稿を行う.また,現在までの開発の過程進展している救命救急用GIS(地理情報システム)は,平常時の患者健康管理データの閲覧にも利用できることから,血圧計や体温計などの医療機器のネットワーク化を進め,それらのデータも追加記録できるシステム拡張機能も検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
3月後半に購入した消耗品の支払が4月になってしまったため.
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次年度使用額の使用計画 |
3月後半の消耗品購入時に使用済み.
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