研究課題/領域番号 |
26630182
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 衛 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (20210560)
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研究分担者 |
齊藤 昭則 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10311739)
齋藤 享 独立行政法人電子航法研究所, 航法システム領域, 主幹研究員 (40392716)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電離圏全電子数 / 3次元トモグラフィー / 電離圏構造 / GPS観測網 / リアルタイムモニタ |
研究実績の概要 |
GPS衛星からの測位電波を利用して電離圏全電子数(Total Electron Content; TEC)が計測できる。いわゆるGPS-TECと呼ばれる計測技術である。本研究では、国土地理院が全国1200点以上に展開しているGPS観測網GEONETのデータを用いた3次元トモグラフィーを用いて、わが国上空の電離圏3次元モニタリングの実現を目指す。本研究の課題は以下の3点である。 課題1「3次元トモグラフィー解析手法の熟成」自動トモグラフィー解析の安定性向上と高速化をはかる。課題2「3次元電離圏構造のデータベース化」1997年から現在まで蓄積されてきたGPS-TECデータを全てトモグラフィー解析することで、約11年周期を示す太陽活動度に対する電離圏変動などの研究を可能にする。課題3「電離圏3次元リアルタイム・モニタリング」GEONETから得られるGPS-TECの1秒値を用いたリアルタイムシステムを構築し公開する。 平成26年度は以下の研究を実施した。(1)まず本研究の課題1に取り組んで、解析手法の安定化・高速化を推進した。具体的には、トモグラフィー解析プログラムをPython言語に移植すると共に改良を目指した。既存プログラムの小さな問題点を改良するとともに、粗行列の計算を高速化するライブラリーを利用することで高速化を達成した。(2)次に本研究が課題3として掲げる「リアルタイム・モニタリング開発」に取り組んだ。具体的には、電子航法研究所が運営を始めたGPS-TECに基づくリアルタイム電離圏擾乱モニタリングにトモグラフィー解析を組み込む方法の検討とプログラム実装を進めた。 以上の研究開発を促進するため、2015年1月に台湾からC.-H. Chen博士を招へいして開発合宿を実施した。 本課題の研究協力者:Chia-Hung Chen博士(成功大学(台湾))、Gopi Seemala博士(Indian Institute of Geomagetism(インド))
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の開始時点においては、研究は課題1、2、3の順で実施することを計画していたが、課題1のトモグラフィー解析プログラムの改良が予想以上に早く進んだため、課題3による自動化プログラムの開発を先に進めることとした。現在、リアルタイム取得したGPSデータからTECの絶対値を得るためのバイアス推定プログラムの開発を行っている。全体的には、課題の進捗は順調な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2年度目はまず課題3を進める。バイアス推定プログラムの開発が終われば、全体をとりまとめてGPSデータの自動取得からトモグラフィー解析までの自動化を試みる。テストランを行ってリアルタイムシステムの完成を目指す。引き続き課題2の実施に移り、自動化プログラムを利用する形で大量データの解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始時は、初年度中にリアルタイムシステム用の計算機を購入することとしていたが、課題1による高速化が進んだため、現有の計算機を用いたリアルタイム開発を進めることとして、計算機購入を見送った。このため余剰金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
現在実施している課題3の開発とともに、計算機システムの要求条件を見定めて必要な物品を購入する予定である。さらに、海外の研究協力者との開発合宿を行うための招へい旅費としても活用する。
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