研究課題/領域番号 |
26630190
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
熊谷 寛 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (00211889)
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研究分担者 |
根武谷 吾 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (00276180)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 磁気 / トモグラフィ / 電流誘導 |
研究実績の概要 |
疾患の画像診断法として、X線CTやMRI(磁気共鳴画像化技術)、さらにはSQUID(超伝導量子干渉計)が利用されているが、X線被曝問題やシステム導入・環境整備に莫大なコストがかかることが問題であった。 本研究では、電気インピーダンスCT技術、磁気計測技術、レーザー技術を融合させることで、これまで実現できなかった安全・非侵襲・非接触で生体内の導電率分布を断層画像として取得するシステムの開発を行っている。平成27年度は、電流誘起磁気トモグラフィに必要な技術開発を行った。第1に高周波インピーダンス測定回路を開発した。電流誘起磁気トモグラフィでは100kHzから5MHzまでの高周波電流を、空気を介して測定対象物に流す必要がある。このため広帯域で高精度測定が可能な、4電極法インピーダンス測定回路を開発した。第2に高周波光ポンピング原子磁気センサシステムの開発を進めた。まず、ソレノイドコイル印加電流伝送導線の周波数特性について検討を行った。 ソレノイドコイルに電流増幅器により増幅させた電流を印加させる時、BNCケーブルを用いた。BNCケーブルの特性インピーダンスは50Ωであり、コイル部分のインピーダンスが異なるため、BNCケーブルと導電の接続面で電流波の反射が起き、電流値の低下やノイズといった問題が生じたため、マッチング回路を作成した。光ポンピング原子磁気センサの高周波磁場特性に関しては、光ポンピング原子磁気センサの高周波磁気特性を明らかにするためにソレノイドコイル印加電流の周波数・ソレノイドコイル印加電流の振幅・レーザパワーの3つのパラメータを指定し、変化させて実験を行った。検出に関してフィルタ特性がQ=4.32のBPF使用し、ソレノイドコイル印加電流が100kHzまでならオシロスコープで確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に計画していた、電流誘起磁気トモグラフィに必要な技術開発を行った。 第1に高周波インピーダンス測定回路を開発した。第2に高周波光ポンピング原子磁気センサシステムの開発を進めた。さらに体幹形状推定アルゴリズムを開発した。電流誘起磁気トモグラフィでは、画像化する体幹形状をできるだけ正確に取得することで、再構成画像の測定精度を向上させることが可能である。しかしながら簡易的な3Dスキャナでは、例えば呼吸によって体幹形状が変化している対象物をリアルタイムに測定することが難しい。そこで、歪みゲージを模した曲率センサを組み込んだ長尺フレキシブル基板を開発した。長さは100mmで均等に16箇所の曲率センサを組み込んだ。今年度はこれらのセンサから得られる曲率を想定して、2名の胸部CT画像からセンサ位置に相当する曲率を測定し、胸部形状を推定するアルゴリズムを開発することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は最終年度のため、前年度までに構築した、非接触電流注入装置と高周波光ポンピング原子磁気センサを同期・統合したシステム構築し、測定を行う。ただし電流注入アレイ(8ch)はアクリル円柱管の外壁から離して設置することで隣り合う電極間、ならびに相対する電極間に非接触電流注入を行う。前年度に開発した高周波光ポンピング原子磁気センサシステムが1chであるため、ファントム自体を機械的に回転させることで、磁気走査を模擬する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、研究成果発表の機会として予定していた応用物理学会(大阪)を、北里大学での研究成果発表に置き換えたため、学会出張旅費の発生がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求していた助成金と合わせて、研究成果発表の機会を増やして、学会への参加のための旅費に使用することを計画している。
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