時空間相関を考慮した分散最適化にもとづく協調型映像投影システムによる投影色補正に関する手法を提案した。具体的には、時間的に変化する環境下でのプロジェクターカメラシステムにおける陰影除去問題を、時空間システムにおける外乱除去問題として数学的に定式化し、制御工学におけるサーボ系の設計理論を適切に適用した。これにより、互いに通信ができない複数のプロジェクタを用いる状況において、中央集中的な処理を必要としない分散協調型の映像投影システムの設計が可能となる。また、提案システムの性能を数学的に評価し、達成可能な性能の限界も陽に与えた。こうした結果は、バーチャルリアリティ研究分野などでは一般的ではなく、異分野協働によって初めて実現できたといえる。実際、これらの理論解析結果は、客観的な性能評価をおこなうときのみならず、試行錯誤に頼らないパラメータ設定などを試みる際にも重要な指針となる。 得られた結果は、バーチャルリアリティ研究分野におけるフラグシップ会議の1つであるIEEE International Symposium on Mixed and Augmented Reality (ISMAR 2016)のポスター発表に採択された。また、プロトタイプシステムの改良およびより現実に即した設定での実験を通じて、さらなる実用性の改善、検討をおこなった結果がComputer Graphics Forumに採択された。
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