本研究は新たな結合材を投入しない、コンクリートの完全なリサイクルを最終目的として実施したものである。粉砕したコンクリートに対して圧縮成形を行なうことで、十分な強度を有する成形体の作製を試みた。検討の結果,コンクリートのみを100ミクロン程度に粉砕し200MPaで成形した場合、圧縮強度は10MPa程度であった。より微粉化し、成形圧力を増加させることで強度は改善可能であることを示す結果を得ている。また成形前に、スラグペーストやシランカップリング剤などに浸漬して乾燥することで、成形体の強度を増加可能であることを確認した。これは、セメントペーストと比較して接合しにくい骨材表面が改質されたためであると推察している。また表面改質以外にも、成形体に炭酸化処理を行った結果、30MPaを上回る強度が得られた。結合材を投入せずに十分な強度を有する成形体としてのコンクリートの再生に成功したことから、本研究の目的は達成されたと考えている。
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