平成27年度は、平成26年度に開発した若材齢コンクリートに対する解析モデルを用いて、硬化過程で力学作用を受けるコンクリートおよびコンクリート構造物の破壊メカニズムに対する検討を行った。本解析モデルでは、コンクリートの強度および弾性係数を経過時間の関数としてモデル化し、セメントの水和反応による水分逸散で生じる自己収縮を初期ひずみとして考慮することにより、時間軸上での収縮-力学挙動連成解析を可能としている。 水セメント比の比較的小さい鉄筋コンクリートはりのせん断破壊実験に対して、再現解析を行った。作用せん断力-中央スパン変位を比較した結果、解析結果は実験結果と良い整合性を有することを確認した。また、コンクリート内部の応力分布を検討することで、自己収縮ひずみが発現する段階における異形鉄筋の拘束状況や、せん断破壊に至るまでの破壊の進行過程を明らかにすることができた。さらに、ひび割れを離散的に再現できる本解析モデルの特徴を活かして、斜めひび割れ発生荷重の予測手法として活用する可能性について検討した。
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