研究課題/領域番号 |
26630224
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
庄 建治朗 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40283478)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 古日記天気記録 |
研究実績の概要 |
入梅・出梅日及び梅雨期間中の天気概況の長期変動を復元するための前段階として、まず歴史時代の日記天気記録と近現代の気象観測データが得られる時代とを通じた均質なデータを得るため、気象観測データと比較可能な明治時代後期から大正時代にかけての日記天気記録の収集を行った。以前に収集した近江八幡と東近江の日記に加え、大津と京都の3日記について天気記録を収集した。また、大津、京都、大阪の3日記について共同研究者からデータを提供していただくとともに、新たに生駒の日記についても調査させていただける見通しが得られた。これらの資料の検討から、日記天気記録の「小雨」、「大雨」等に対応する降水量には非常に幅があるが、ある程度の長期間についてそれらの日数を積算することである程度客観的な降水量の指標が得られること、「雨」と「雪」の区別は、日平均気温と密接に関係し、気温2~3度にその境界があること等が明らかになった。さらに、当初の研究計画にはなかったが、樹木年輪の酸素同位体比の年輪内の変動を測定することで梅雨時期の湿度の変動を詳細に復元できる可能性が明らかになったことから、所持している琵琶湖南岸地域のヒノキ標本について近年数年輪分の酸素同位体比の詳細な年輪内変動を測定し、気象データとの対応について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
樹木年輪セルロースの酸素同位体比の年輪内変動を測定することで、梅雨期前後の期間の湿度の詳細な変動を復元でき、古日記資料から復元した入梅・出梅日や梅雨期間中の降雨状況等を検証・補完する有力な資料となる見通しが得られたことから、当初研究計画にはなかった琵琶湖南岸地域のヒノキ標本についての酸素同位体比の年輪内変動の測定を並行して行った。そのため、古日記資料については、気象観測データと比較可能な近代の天気記録収集は概ね順調に進んでいるものの、当初計画の時間的に均質な天気概況データの作成という段階には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
まず、これまで収集した観測時代の日記天気記録と気象観測データとの対応関係についての検討結果を、7月に名古屋で開催される国際第四紀連合(INQUA)の会議にて発表する。観測時代の日記天気記録について引き続き収集整理を行うとともに、収集史料の明治時代前期・江戸時代への拡張を図る。並行して、樹木年輪酸素同位体比の年輪内変動を利用した梅雨期降水状況の復元についても検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究経費の使用状況は、概ね計画通りであるが、初年度には実使用額は計画より2万円ほど少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
第2年次の経費使用計画も基本的に当初計画通りであり、調査のための旅費と資料収集・整理のための人件費、論文投稿にかかる経費等が主な使途である。
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