今年度は前年度に引き続いて、雨の音色を工学的に計測し、雨の音色と従来の降雨情報の関係性を明らかにした。昨年度に実施した運転する車の中での計測に加えて、部屋の中の静穏環境下における雨音を計測した。また、雨音の防災情報としての利用に関しては、機械的な利用に関しては使えるが、「豪雨の音色」を奏でるためにはギャップがあることがわかった。 1)雨の音色、および降雨情報の観測: 京都大学防災研究所において、降雨情報の観測を継続実施した。加えて、部屋の中における雨音を計測した。 2)雨の音色と周囲の雑音の関係: 車の中での雨の音色の観測に比べて、部屋の中での観測はノイズ成分が少なく、より雨音をクリアに計測することができた。特に、窓際で計測した場合には、より強雨と雨音の関係性を高く計測することができた。昨年度に実施した運転する車の中での計測結果と比較し、部屋内などの静音環境下では豪雨の音を捉えやすいことがわかり、防災情報として利用できる可能性を示した。 3)豪雨の音のアンケート調査: 取得した豪雨の音に関してアンケート調査を実施し、豪雨と弱雨の判別は可能であることがわかった。ただし、防災情報として利用するために、わざと豪雨の音が強調されるような仕組みには否定的な意見が多くあり、課題として残された。 以上、雨音を防災上へ利用するべく研究を進めてきた結果、雨音としての機械的な利用は可能であるが、「豪雨の音色」を奏でるという上質な利用手法の創出においては、人間の雨への向き合い方を含めて、より詳細な検討を続けていく必要がある。
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