研究課題/領域番号 |
26630232
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
萩原 亨 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60172839)
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研究分担者 |
濱岡 秀勝 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70262269)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 道路照明 / プロビーム配光 / 交通安全 / ヘッドライト / 照明協調 |
研究実績の概要 |
本研究では、対称照明を用いた道路照明が提供する視環境の課題を踏まえ、非対称照明、特にプロビーム照明とすることによる道路の視環境改善について検討した。プロビーム配光の道路灯の目標路面輝度分布を設定し、具体的な配光を決定し、視環境シミュレーションを実施した。その中で、走行車線の路面輝度、走行車線と歩道の鉛直面照度、走行車線・対向車線・歩道のグレア(TI値)を求めた。道路照明をプロビーム照明とすることによって,道路空間全体が明るくなったい暗くなったりすることがなく、鉛直面照度が20lx前後となり,ドライバから見て道路上の対象物を発見しやすい視環境を提供できることがシミュレーションからわかった。特に,ドライバから見て,歩道の鉛直面照度が高く、道路を横断する前の歩行者を認知しやすくなる点はメリットと言えた。しかし,歩道の歩行者がまぶしく感じる、対称照明の倍の道路灯を設置する必要があるなど、デメリットもあった。ただし、ここで試行したプロビーム照明の配光は、多数ある中で任意に決めたものであり、最適化を行ったものではない。
多様な視認対象物と多様な道路利用者が共存する道路空間の中で,全体を一様に明るくする道路照明は,いろいろな意味で大切な役割を担っている.しかし,道路照明を設置することはヘッドライトとの融合が起きる.本研究では,道路の進行方向側にビームを向けるプロビーム方式となる配光技術を道路照明で実現し,ヘッドライトと調和できる道路全体を逆シルエット視となる方式(配光)の道路灯を提案した.これによって,歩行者と道路照明装置の位置関係によってその視認性が一定とならない課題を克服し,かつ歩行者の被視認性レベルを高めることが可能となることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、対称照明を用いた道路照明が提供する視環境の課題を踏まえ、非対称照明、特にプロビーム照明とすることによる道路の視環境改善について検討した。プロビーム配光の道路灯の目標路面輝度分布を設定し、具体的な配光を決定し、視環境シミュレーションを実施した。プロビーム道路灯の取り付け高さを10mとし、以下の設計目標を満たすように設計した。 ・路面輝度: 0.5cd/m2以上 ・鉛直面照度: 現行の2倍以上(21.2lx) ただし路面上1.5mにて ・均斉度: 総合均斉度Uo≧0.4 、 車線軸均斉度Ul≧0.6 ・グレア: TI ≦ 15% 提案したプロビーム配光の道路灯において、路面輝度に関する目標値はクリアされた。対称配光の道路灯の方が、その配光の特性から、明るくなったり暗くなっていたりするのがわかる。一方、プロビーム配光の道路灯では道路空間全体が、左右の歩道も含めて全体が一定の明るさになっていた。これらの結果を、ITS World Congress 2015, from 5-9 October in Bordeaux, Franceに投稿したところ、発表と論文登載がアクセプトされた。また、これらのコンセプトを記述した申請者らによる解説が、照明学会誌4月号、2015に掲載された。以上から、ほぼ研究計画通りに進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
逆シルエット視とすることが、道路上の歩行者と障害物の視認性において優れることを示す検証実験を被験者20程度を用いてテストコースで実施する。現在は、シミュレーション結果に従った配光による灯器の試作に取り掛かっている。被験者による視認評価実験を下を計画している。被験者は静止した車両の運転席に着座する。液晶シャッターゴーグルにより視認時間をコントロールし、運転状態に近づける。この状況で、歩行者について視認評価を行う。視環境(歩行者は反射輝度が均一な服装を着用)として、路面を均一に明るくし「影」で歩行者を視認する条件と試作した灯器を用いて明」で歩行者を視認する条件 を用意する。2つの条件で、歩行者の輝度コントラスト計測、視野全体の情報をすばやく探索する過程を示す歩行者の発見時間の計測、事物の詳細機構を認知する指標として歩行者の横断速度判断および属性に関する情報の計測を行う。それらの結果から、「明」(逆シルエット視)がドライバによる歩行者視認に与える評価し、試作灯器の優位性を示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画に従って、研究を遂行したが、研究経費に若干の残額(約2万円)が出た。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度に予定している研究において、消耗品費として使用する予定である。
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