街路の夜間における道路上の歩行者の視認性を高めることを目的とし、プロビーム照明による路上の歩行者視認性に関する基礎的検討を試みた。本研究では、プロビーム照明において対称照明より歩行者の視認性は同等以上となり、かつ安定した視認性を提供できることを視認性実験で検証する。具体的には、理想配光に近い簡易プロビーム照明を既存の灯具を用いて作成し、歩行者視認性実験を実施した。 既存の灯具を基に製作した簡易プロビーム照明を用いて、テスト走路におけるドライバによる歩行者視認性評価実験を行った。歩行者を模擬したダンボール製自立式の人形を作成し、人形には黒色の紙(反射率8%)と灰色の紙(反射率23%)を貼った。照明ポールの位置と車両の位置を相対的に変化させ、ヘッドライト(ロービーム)を点灯した条件で人形の視認性がどのように変化するのかをプロビーム照明と対称照明で測定した。 視認性評価および鉛直面照度の測定結果から、対称照明条件下に比べてプロビーム照明条件下では人形の視認性が高く、かつ照明のポールと車両の位置関係によって視認性の変化が少ないことが示された。また、反射率8%でも、プロビーム照明条件による視認性は、対称照明条件と同様あるいはそれ以上であった。既存の灯具を組み合わせて理想のプロビーム配光に近づけた簡易プロビーム照明による実験となったが、プロビーム照明方式の潜在性能の高さを示すことができたと。
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