研究実績の概要 |
平成27年度は,まず,前年度に構築した道路ネットワーク耐震化(ASR: anti-seismic reinforcement)問題に対して,乱択アルゴリズムの一つである Gibb-cloner (GC)法を用いて費用対効果の高い ASR 戦略を効率的に求める方法を開発した.次に,小規模~中規模のネットワークを対象として,「(厳密評価が困難な)目的関数の推計」と「(列挙法の適用が困難な)費用対効果の高いASR戦略の求解」のそれぞれに関して, GC 法と前年度に開発した cross-entropy (CE) 法を適用し,その優位性を検証した.これにより.目的に応じて異なる手法を採用して組み合わせる-----目的関数の推計には CE 法を, 優良戦略の求解には GC法を採用する-----ことで高い精度と効率性を両立できることを明らかにした.最後に,交通工学分野でベンチマークとしてたびたび利用される Sioux-Falls ネットワークを対象とした試算を行ない,CE法とGC法を組み合わせた提案手法が,ごく僅かな被災パターン / ASR戦略のサンプルのみから,大衆向けパーソナルコンピュータでも実用的な時間内に目的関数の推計と優良戦略を求められることを明らかにした.
以上の成果は,それぞれ,平成27年5月の人工知能学会, 10月の国際道路ネットワーク信頼性学会(INSTR: International Symposium on Transportation Network Reliability), 11月の土木計画学研究発表会で報告済みであり,土木学会論文集に論文を投稿済みである.
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