研究課題/領域番号 |
26630236
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
久保田 尚 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80205145)
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研究分担者 |
小嶋 文 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (40637998)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 交通シミュレーション / ビッグデータ / 交通調査 / 日変動データ |
研究実績の概要 |
近年,交通シミュレーションの活用が広がっているが,必要なデータの取得・整理に多くの人手・時間を要することや,ある一日の調査結果を基に作成されるため,施策の評価が過大あるいは過小評価になっているのでは,という不信感を払拭できていない問題がある.近年,情報通信技術の発達に伴い,ビッグデータが注目されているが,交通の分野では,日変動データとして,ビッグデータが注目される.これまで人手調査により取得されてきたデータも,こうしたビッグデータとして,365日の日変動を把握できる形で取得することが可能となってきている.本研究では,この日変動データを用いて,実際の交通で発生している日変動を交通シミュレーションで再現できるかを検証し,交通シミュレーションによる施策評価の信頼性の向上を目指す.また,日変動データが交通調査の代替となり得るか,その可能性と課題について考察を行った. ナンバープレート調査(NP調査)を主体とした交通調査,及び,日変動データとして,株式会社ナビタイムジャパンが取得・管理している携帯プローブデータ「NAVITIMEデータ」から旅行速度の日変動を,埼玉県警察が常時観測している「断面交通量データ」から断面交通量の日変動を把握し,調査日の位置づけと日変動の状況を明らかにした上で,日変動データから,対象地域の交通状況の変動を把握することができ,調査日の位置づけを明確にできた.また,日変動再現の手法を提案することができたが,手法の検証ができておらず,課題として残っている.また,現段階ではデータ量の不十分さから,少なくとも一日のNP調査は必要と言わざるを得ない.今後,利用者の増加や各社のデータを統合する仕組みづくりなどにより,日変動データの充実が求められる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は,交通シミュレーション,交通流に関する文献調査を行うとともに,NP調査を主体とした交通調査を実施し,日変動データとして,携帯プローブデータ「NAVITIMEデータ」から旅行速度の日変動を,埼玉県警察が常時観測している「断面交通量データ」から断面交通量の日変動を把握した.その上で,上記で得られたデータから,交通シミュレーションを構築し,調査日の交通状況の位置づけと日変動の状況を明らかにした.また,交通シミュレーションによる日変動再現の手法を提案することができた.一方,手法の検証については,課題として残っている.
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今後の研究の推進方策 |
ある1日の調査のデータを用いた従来の交通シミュレーション,日変動がある中で調査日がどの位置づけになるか示した上での交通シミュレーション,調査日以外の日も再現した,本研究で提案した日変動を再現した交通シミュレーションを提示し,その信頼性について住民,及び専門家の意見を反映することが,交通シミュレーションの信頼性を考える上で必要である.日変動の考慮・再現の有無により,交通シミュレーションに対する感じ方にどのような変化が生じるかを分析することで,交通シミュレーションの信頼性の向上につなげる.さらに,交通シミュレーションで出力される結果としての交通状況を理解するための,評価指標を提案する.評価指標を提案評価指標の有効性については,住民やドライバーへのアンケート調査や,地元自治体や警察担当者へのヒアリングを実施して,日常感覚に合致した指標となり得ているかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ナンバープレート調査データの整理について、データの精査に予定より遅れが生じたこと、及び、それに伴う交通シミュレーションの構築の遅れにより、さらに、ビッグデータのデータ量が十分ではなかったことから、新たな検討が必要となり、一部の作業が平成27年度に持ち越されることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の実施計画を遂行するとともに、次年度使用額については、プローブデータ及び交通量常時観測データとナンバープレート調査データ整理にかかる謝金の一部とする。
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