研究課題/領域番号 |
26630241
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇野 伸宏 京都大学, 経営管理研究部, 准教授 (80232883)
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研究分担者 |
谷口 栄一 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70252468)
中村 俊之 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10419062)
中村 有克 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80589185)
山崎 浩気 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60612455)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 交通安全 / 交通工学 / 運転負荷 / 走行支援情報 / 模擬走行実験 / 脳血流動態 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,道路線形・構造面での改良も含めた,道路交通システムの安全性向上に資するための基礎研究に位置づけられ,各種道路安全対策の効果をドライバの運転負荷の面から評価するための方法論の構築を行う. 26年度は次の2テーマに取り組んできた.1)交通事故率に対する統計的分析に基づき事故発生に影響を及ぼす可能性が高い要因(道路・交通・環境要因)の特定を試みた.2)道路要因・交通要因を体系的に設定し,ドライビングシミュレータによる模擬走行実験を行い,運転行動及び脳血流動態の生理指標を計測し,運転負荷の評価を行った. 1)については,高速道路を中心として,交通事故率と道路線形・構造・環境・交通の各要因との関係について,重回帰分析や共分散構造分析等の統計的分析を行い,事故多発地点と事故発生に関わる要因との関係について大局的に分析を行った.その結果,平面線形としての曲線部および縦断線形としての勾配変化等が,交通事故率の代償に影響を及ぼす可能性が示唆された. 2)については,脳血流動態計測の結果から,高次脳機能の状況を把握し,運転者に関わる負担を把握し,計測結果が意味するところの解釈を試みた.模擬走行実験では,道路線形・構造(道路要因)/交通流特性(交通要因)の2要因を体系的に変化させて,ドライビングシミュレータ による模擬走行実験を行い,設定要因の観点から見た運転負荷の多寡と運転挙動,脳血流動態指標との間の関係について分析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度は当初計画通り,1)交通事故率に対する統計的分析に基づく事故発生影響要因(道路・交通・環境要因)の特定,および,2)道路要因・交通要因を体系的に設定した下での模擬走行実験による運転負荷の評価を行った.ただし,模擬走行実験の実施回数が,当初想定を多少下回っていることもあり,概ね順調に進展しているとした.
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今後の研究の推進方策 |
26年度は上述の通り,概ね当初計画通り研究を実施できており,27年度も当初の計画に従い,研究を推進する予定である.すなわち,27年度は次の2テーマについて取り組む予定である.3)危険事象発せ仮定の再現を企図した模擬走行実験を実施し,運転者の認知・判断・操作,車両挙動に基づくコンフリクト指標,生理的指標に基づく運転負荷を多角的に分析し,運転負荷評価手法の構築を試みる.4)この運転評価手法を適用し,道路デザインの評価を試みる.そして,「研究実績の概要」に記載の1)および2)の内容とともに,本研究課題の成果としてとりまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの達成度」にも記載の通り,模擬走行実験の実施回数が,当初想定を多少下回っているため,被験者の謝金額などの執行額が予算額より少なくなったことが,次年度使用額が生じた主たる理由である.
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次年度使用額の使用計画 |
27年度も26年度に引き続き,模擬走行実験を実施する予定である.特に本研究課題の主題でもある危険事象の発生可能性が高い状況を想定して,ドライバの運転負荷を計測する実験を行う計画であり,当該実験について十分な実験回数(被験者数)を確保するために次年度使用額を充当する予定である.
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