気候変動モデルのダウンスケーリングを行い,複数のシナリオ下における降水量・気温を予測した.そして,分布型流出モデルを活用して流域内の流速・水深・水温の空間分布を予測し,MaxEntにより,各シナリオ下の水生昆虫4種の対象流域内の生息分布を推定した。さらに,ゲノムワイドの遺伝子データからBayeScanおよび自己組織化特徴マップ解析により環境選択性遺伝子座を同定した。そして,水温・流量等の変数と対立遺伝子頻度の関係を表す重回帰モデルを作成し,気候変動下の環境選択性遺伝子座と遺伝的多様性の空間分布を予測した。その結果、水温による自然選択を強く受けていた種の遺伝的多様性の著しい劣化が予想された。
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