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2014 年度 実施状況報告書

養殖排水中医薬品のオンサイト除去を実現する回転円板型促進酸化装置の開発と評価

研究課題

研究課題/領域番号 26630248
研究機関高知大学

研究代表者

藤原 拓  高知大学, 自然科学系, 教授 (10314981)

研究分担者 深田 陽久  高知大学, 自然科学系, 准教授 (10380304)
深堀 秀史  愛媛大学, 紙産業イノベーションセンター, 助教 (70617894)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード促進酸化 / 養殖排水 / 医薬品
研究実績の概要

淡水魚としてアユを飼育し、吸着および光触媒分解に影響を与える可能性がある養殖排水中の有機物およびイオンを測定した。また、トレーサー試験により養殖水槽の滞留時間が約20分であることを見出し、開発技術の目標処理時間を設定できた。また、スルファモノメトキシン(SMM)水和物を含有する水産用ダイメトン散を混和した飼料を給餌し、給餌後の養殖排水中のSMM濃度の経時変化特性を明らかにした。
連鎖球菌症に使用される塩酸オキシテトラサイクリンを除去するために、Si/Al 比が低い親水型ゼオライトへの吸着特性を把握するとともに、吸着性能の向上を目的として、ゼオライトへの金属イオンの置換を検討した。pH 7に調整したテトラサイクリン水溶液にゼオライトを加え、テトラサイクリン濃度の経時変化を追跡した。未処理のゼオライトと比較して、Cu置換ゼオライトではテトラサイクリンの吸着量が向上しており、特異的な相互作用があることが明らかとなった。Cu以外の金属イオン置換ゼオライトではテトラサイクリンへの相互作用は確認されなかった。
回転円板型促進酸化装置の作成に先立ち、円板に搭載するシートに複合化する高シリカ型ゼオライト(HSZ-385)および酸化チタン(P25)によるSMMの吸着・分解速度を評価した。引き続き、ラボスケールの回転円板型促進酸化装置を作成し、淡水養殖排水を模擬した純水中のSMMの処理速度を回分試験により評価した。その結果、水中のSMMは円板に吸着され、その後気相部での光触媒反応にともなう分解によりHSZ-385が再生されたことから、養殖排水中のSMMの持続的な処理の可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ビブリオ病に使用するスルファモノメトキシンに適用可能な吸着材(HSZ-385)と光触媒(P25)を複合担持したシート材料を開発し、この吸着材/光触媒複合シートを搭載した回転円板型促進酸化装置を開発することに成功した。連鎖球菌症に使用する塩酸オキシテトラサイクリンに対しては、シリカ/アルミナ比が低い親水性ゼオライトを材料としたCu置換ゼオライトを合成した。Cu置換によりテトラサイクリンの吸着量が向上しており、特異的な相互作用があることを明らかにした。以上により、具体の研究目的のうち、「養殖排水中医薬品に適用可能な吸着材と光触媒を複合担持したシート材料を開発する。」および「吸着材/光触媒複合シートを適用した回転円板型促進酸化装置を開発し、設計・操作因子を提示するとともに処理性能の評価を行う。」について、おおむね順調に進展している。具体的な実施項目に関しては、「実養殖排水の性状ならびに医薬品濃度の評価」、「養殖排水中医薬品に適用可能な吸着材と光触媒を複合担持したシート材料の開発」は予定通り進行しており、「回転円板型促進酸化装置による医薬品処理の設計・操作因子の検討と処理性能評価」についても、基本的な処理性能の評価は完了した。以上により、本研究の全体目的はおおむね順調に進展していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、回転円板型促進酸化装置による医薬品処理の設計・操作因子の検討と処理性能評価を継続実施する。模擬養殖排水および実排水を対象として、回転円板型促進酸化装置による医薬品の連続処理実験を行い、各排水における処理性能の比較・評価を行う。また、各種の設計・操作因子が処理特性に及ぼす影響を評価する。
医薬品分解機構の解明と中間産物の生態毒性評価に関しては、対象医薬品の光触媒(P25)による分解試験を行い、LC/MS/MSにより中間産物の同定と分解経路の推定を行う。また、対象医薬品および同定された中間産物を対象として、生態毒性評価を行う。
さらに、上記で明らかになった生態毒性を有する中間産物の吸着材および複合シートへの吸着特性を評価することにより、回転円板型促進酸化装置が、処理水の生態毒性低減の観点から効果を有することを示す。

次年度使用額が生じた理由

設備備品費として計上していた回転円板型促進酸化装置について、既存装置を使用可能であったため本年度の購入を行わず、消耗品に重点支出した。その結果、当初予定との差額分が次年度使用額となった。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額を生態毒性評価にかかわる消耗品費として使用する予定である。

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公開日: 2016-05-27  

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