養殖排水中のサルファ剤の除去のため、① 養殖排水に含まれる医薬品スルファモノメトキシン(SMM)濃度の調査、② 高シリカ型ゼオライトおよび酸化チタンを用いた養殖排水中のSMMの吸着、分解挙動の調査、③ 回転円板型促進酸化装置(RAOC)を用いた養殖排水中のSMMの除去、について検討した。 アユの養殖槽にSMMを混合した餌を給餌し、排水中のSMM濃度を経時的に測定したところ、給餌後すぐにSMM濃度が上昇し、最大で100 ug/L程度になることが明らかとなった。そこで、初期濃度を100 ug/Lとし、高シリカ型ゼオライトおよび酸化チタンを用いて養殖排水中のSMMの吸着および分解を行ったところ、純水中と比較して、高シリカ型ゼオライトへの吸着は阻害を受けなかったものの、酸化チタンによる分解反応に対する阻害が確認された。また、酸化チタン-ゼオライト複合材を用いて純水および養殖排水中のSMMの除去を試みたところ、いずれの溶媒中でも処理開始後30分に系内からSMMを除去することが可能であり、養殖排水中の共存物質による阻害影響は見られなかった。複合材による処理では、SMMの一部がゼオライトに吸着されてから分解されることで、共存物質の影響を受けにくかったためと考えられる。 最後に、RAOCによるSMMの除去を検討した。初期濃度を10 mg/Lとし、酸化チタン-ゼオライト複合シートを搭載したRAOC で処理を行ったところ、6時間の処理で水中のSMMを90%除去可能であった。また、RAOCによる純水中のSMM除去のモデル化を行った結果、シート内における分解が重要であることが明らかとなった。以上の結果より、本研究で提案したRAOCを用いることで、養殖排水中のSMMを効率的に除去できることが示された。
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