研究課題/領域番号 |
26630251
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研究機関 | 国立研究開発法人港湾空港技術研究所 |
研究代表者 |
桑江 朝比呂 国立研究開発法人港湾空港技術研究所, その他部局等, チームリーダー (40359229)
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研究分担者 |
渡辺 謙太 国立研究開発法人港湾空港技術研究所, その他部局等, その他 (20725618)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気候変動 / 二酸化炭素吸収 / 生態系サービス / 環境計測 / 安定同位体 |
研究実績の概要 |
これまで,海洋によるCO2吸収は外洋で発揮されていて,陸域からの負荷を受ける沿岸域では有機物が分解する場,すなわちCO2の放出源と考えられてきた.ところが近年,海洋植物が豊富で活発な沿岸海域では,熱帯林を上回る高いブルーカーボン(海洋中の炭素)の隔離速度の事例が示されるようになってきた.しかしながら,河川・海底・外洋の影響を受け,流動や物質生成消費の時空間変化が激しく,複雑な場という海域特性により,「吸収された大気中CO2が本当にその場で隔離されているか」の提示の見通しがまったく立っていない.
したがって本研究では,「ブルーカーボン研究」という新学術分野の基盤技術を新たに創出するため,河口-沿岸海域-沖合において,三相(気相・液相・固相)すべての炭素同位体比と炭素量を定量化する測定手法を開発し,沿岸海域における大気中CO2の吸収・隔離機能に密接にかかわる炭素フローとストックを,炭素起源別に定量化可能にすることを目的としている.
本年度実施した主要な研究内容は以下のとおりである.(1)国内外の藻場干潟とその流域,外海において,炭素動態に関連する各水底大気質の実測,(2)液相中の溶存有機炭素の定量化ための分析システム開発,(3)アマモ場における三相の起源の定量化に関する論文の執筆と公表,(4)COP21にて情報収集.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
沿岸海域における大気中CO2の吸収・隔離機能に密接にかかわる三相(気相・液相・固相)の炭素のうち,液相中の溶存有機炭素以外の全ての炭素フローとストックを起源別に定量化するための炭素同位体比と炭素量を定量化する測定手法の開発を終えた.液相中の溶存有機炭素については,分析の前処理ラインを作成中である.
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今後の研究の推進方策 |
液相中の溶存有機炭素について,分析の前処理ラインの作成を完了し,分析手法を確立する.これにより,沿岸海域における大気中CO2の吸収・隔離機能に密接にかかわる三相の全ての炭素フローとストックを起源別に定量化する手法を確立する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は,分析前ラインの制作後の分析精度テストに充当するための予算を確保してあったが,実際にはラインの制作を今年度実施したため,ライン制作の手直しと分析精度テストを次年度に実施した方が研究を確実に遂行できると判断したため.
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次年度使用額の使用計画 |
ライン制作の手直しと分析精度テストを次年度に実施するため,物品費,旅費として使用する.
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