本研究では、近年新たな制振装置として大きな注目を集める同調回転慣性質量機構を用いた大質量比TMDをモーターと接続することで、構造物の振動エネルギーを電気エネルギーへと効率的に変換し大規模エネルギーハーベスティングが可能となる同調回転慣性質量トランスデューサーを提案し、その装置の有効性を発電装置、制振装置としての両方の側面から検討を行ってきた。 最終年度は、提案する装置の縮小型のプロトタイプの作成を行った。ここでは発電用にエネルギー変換効率の高い三相モーターを用いて、抵抗をスター結線によりモーターに接続し、この抵抗値を調節することで装置が発揮する減衰を変化出来るようにした。簡単のため、この抵抗により消費される電力を発電量と定義し、さまざまな周波数をもった正弦波を入力した加振実験を行い、提案する装置がある特定の周波数をもった外乱に対してエネルギー吸収効率を大きく向上可能である事を実証した。さらに、得られたデータからカーブフィッティング手法を用いて、実験データを非常に高い精度で再現出来る、エネルギー損失を考慮した信頼性の高い数理モデルを導出した。
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