先進諸国の多くは、1980年代から、市場重視の住宅供給システムをつくってきた。それによって、持家セクターが拡大し、社会賃貸セクターは縮小した。しかし、サブプライム・ローン破綻、リーマンショック、ユーロ危機など、2000年代末から続くグローバルな金融・経済危機によって、持家取得の推進は困難になった。この結果、“ポスト・クライシス”の住宅供給システムをどのように組み立てるのかという問題の重要性が高まった。こうした状況を背景とし、本研究では、主に文献・統計調査によって国際比較分析を進め、持家停滞のなかで、民間賃貸を刺激する政策が拡大し、社会賃貸セクターを再評価する動きがあることを明らかにした。
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