本研究では,世界遺産都市フエにおいて文化財保護を目的とした開発規制がかけられている遺構の周辺集落を対象に,住民自身が水田の管理や集落景観の保全といった活動を通して地域固有の歴史的環境保全に関与することで遺跡近接地域における集落の定住を実現するような計画論を提示し,その課題を明らかにすることを目的とした. そのために,まず対象集落の基礎情報,地域的な課題について現地調査を行った.次に,その分析結果をふまえて,集落が歴史的環境保全に関与し,住み続けられるシナリオを作成した.最後に,住民参加のセミナーを現地で開催し,同シナリオに基づいて集落内の住環境を自律的に改善する方法について住民と意見交換した.
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