研究課題/領域番号 |
26630281
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
佐藤 圭一 福山大学, 工学部, 教授 (60435378)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生活用水供給システム / 熊本地域 / 居住空間形成 / 湧水・井戸・水道 / 地下水 / 水俣 / 簡易水道 / 飲料水供給施設 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き関連の史・資料収集を行い、特に水俣市水道局において簡易水道等の統合計画や実施状況、小規模水道組合に関する統計資料と情報を得ることができた。研究初年度に調査協力を得て予備調査を行った熊本県南部の水俣市の農村集落において、主に水道祭りと水道組合に関する調査を継続した。当該地区から提供された水道組合の1960年からの記録ノートを分析して、水道祭りの実態や水源、水道の変遷と集落形成について明らかにした。当該地区の「生活用水供給システム」は、湧水自然流下式組合営型に分類され、水道組合による地域の年中行事である「水道祭り」がその維持に重要な役割を果たしてきた。 水俣市の「生活用水供給システム」は、水道法上の水道事業にあたらない多数の小規模地域水道(飲料水供給施設)からなるのが特徴である。2009年から水俣市簡易水道事業等統合計画を実施中で、2016年度に完了予定である。計画策定の意向調査を行った約10年前と現状では状況が異なり、高齢化や人口減により地域水道維持が困難になっている現状を明らかにし、さらに、地域で維持する小規模水道を整理統合されると、水道祭り廃止に伴ってコミュニティ維持機能が低下し、限界集落化を推し進めるおそれを指摘した。これらの成果は、「熊本県南部の山間地域における水道祭りと水道組合 ~生活用水供給システムの変遷からみた熊本地域の居住空間形成~」と題して、2016年度日本建築学会大会に投稿中である。 本研究は、熊本地域の豊富な地下水(井戸水)の減災活用も一つの視点としていた。2016年4月、調査対象地域において熊本地震が発生したが、熊本地域の現地状況を踏まえて調査を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年目の27年度は、研究対象地域である熊本県から県外の大学へと所属研究機関を異動したため、当初の計画通りの臨地調査等が難しくなった。しかし、27年度に一部研究内容と方法を見直し、現地との研究協力体制を再構築できたため、28年度最終年度にはほぼ予定通りの研究成果をとりまとめる。
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今後の研究の推進方策 |
27年度より所属研究機関が変わり調査地域から離れたため、28年度は現地との研究協力体制をさらに密にし、より効率よく臨地調査を進める。これまでの調査過程で調査協力が得られた地区に重点をおくことで、最終成果の質を向上させる。 また、調査対象地域で熊本地震が発生したため、現地状況を見極めながら調査研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度も無償の研究協力と研究代表者自らの作業によって、人件費・謝金を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
所属研究機関が変わり、調査地域が遠方になったため、国内旅費を当初予定より多く使用する。研究最終年度である28年度は、人件費・謝金を使用して効率よく研究を進め、研究成果をとりまとめる。
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