研究課題/領域番号 |
26630282
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
三村 豊 総合地球環境学研究所, 研究高度化支援センター, センター研究推進支援員 (90726043)
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研究分担者 |
新井 健一郎 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 准教授 (70548354)
志摩 憲寿 東洋大学, 国際地域学部, 准教授 (90447433)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ジャカルタ / 都市 / 可視化 / 開発 |
研究実績の概要 |
本研究は、地理情報システム(GIS)を援用した都市の時系列可視化の手法および体系化を目的とし、ジャカルタ都市圏の人口増加・無秩序な郊外化が及ぼす土地利用の変化や都市の縁辺地域の都市・農村(デサコタ)の都市化の動向を解き明かすことである。 平成27年度の研究実績は、昨年度の研究実績であるジャカルタ都市圏の「開発」の定義や都市計画文書類の収集結果および都市の時系列可視化の構築を踏まえて、第1に戦後ジャカルタにおける「準中間大衆」の位置付けと定義、第2に日英による論文の発表、第3にインドネシア・ジャカルタでの現地視察を行った。具体的には、第1では、ジャカルタ都市圏における「開発」とは、大規模ニュータウンの開発環境が新たな生活様式や価値観を形成していることを明らかにした。第2では、8th EuroSEAS conference(8月)および東南アジア学会(12月)において研究成果の発表を行った。特に発表では、本研究の特色である史的データとGISによる考察を通して、数理的・空間的な実態に基づくジャカルタの開発傾向の実態について新たな視座を示すことができた。第3では、ジャカルタにおける都市開発の現状を継続的に把握するため、現地のフォローアップを行った。ジャカルタ都市圏は、活発な不動産投資もあって短期間でも変貌が激しく、視察ではインタビュー等を通して都市景観の変貌を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度では、情報収集とGISによる基盤構築を行ったが、都市計画文書類の収集が作業の中心となっていたため、過去データとの比較対象となる現在のジャカルタ都市圏での土地利用の変化についてフォロー調査ができずにいた。平成27年度では研究成果の発表と現地の視察を行い、概ね順調に研究が遂行できた。特に、平成27名年度は、ジャカルタ都市圏における「開発」の概念をさらに具体化させるため、古地図やGISを用いて数理的な解析によって特殊な建造環境エリアの導出を行った。それら導き出されたエリアを「準中間大衆」と定義して、地域の普遍的な現象を明らかにした。この結果は、他のアジア都市においても適応可能だと思われ、今後の研究発展に大きく期待される。また、研究成果の発表後には、学術誌への投稿依頼や他の学会での発表依頼受けるなど、高い評価を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の今後の推進方策は、未整備の都市計画文書をGIS化させることを推進させる。開発動向に関する資料が予想より遥かに多くの情報を収集することができたため、当初の計画で設定していた作業仮説である3つ時代区分(スカルノ時代・スハルト時代・ポストスハルト時代)の見直しを行うため、平成28年度も継続して研究を行う。 さらに、都市の時系列可視化の構築のさらなる成果発信の可能性を検討している。申請段階では、WebGISのMapserverによる基盤構築をひとつの成果として掲げていたが、情報発信を教材にして、広くわかりやすく発信できると考えている。教材は、もともと予定していないことであるが、限られた予算の中でプロトタイプを作成して、今後の研究へ繋げられる成果物として見える形で残したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、本研究で収集した史的データに関する情報提供のためジャカルタの渡航を予定していたが、2016年1月14日のジャカルタのテロ事件があったてため渡航を断念した。その際に現地での情報共有が困難であったとしても、アクセス可能な情報発信が重要であろうと考え、研究計画を見直した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の使用計画は、学会への参加のための旅費に使用や情報発信のためのデジタル書籍の作成として使用することを計画している。
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