奈良時代に国家的な要請のもとで整備された賀茂神社と春日大社の社殿の意味を祭儀と建築の側面から明らかにした。山城の国の賀茂社は、奈良時代に国家的な大社として二つの神社となった。上賀茂神社は古い祭儀を伝え、古い土地で建物を増やしていった。下鴨神社は、平安時代の祭に対応して広々とした土地に左右対称の建物群を形成した。春日大社は奈良時代に形成された神社であるが、建物ができるより前に、祭を行っていた。その後、立派な建物ができたが、古い祭の要素を残している。上賀茂神社と春日大社の本来の祭祀は、類似している。上賀茂神社の社殿のあり方は、伊勢神宮と似た面があるので、王権の祭祀の影響を受けたものと推定される。
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