内殻エキシトンの計算手法の確立により,局所構造解析に応用するためのケーススタディを行った.第一に,六方晶BNやグラファイトについて,面間距離の変化や,表面・特殊粒界での結合欠陥に伴う電子状態や振動状態の変化と,理論エキシトン線の変化について調査した.この系は,将来的には共同研究により実験が可能と想定しているものであり,内殻エキシトンを局所構造解析に応用する好例になると期待している.また,エキシトン効果の電子論的起源を明らかにするため,実空間での内殻空孔と励起電子の分布を図示した.さらに,酸化チタンのマグネリ相における構造欠陥を対象とした検討を行った.これも,実験的検証を想定した系である.これらの研究を通して,実在系での粒界や表面での局所構造解析への応用研究を視野に入れることが可能となった.
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