研究課題/領域番号 |
26630296
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白土 優 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70379121)
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研究分担者 |
遠藤 恭 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50335379)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | CPW-FMR / 垂直交換バイアス / 反強磁性スピン / 垂直磁気異方性 / Cr2O3 / スピンダイナミクス |
研究実績の概要 |
強磁性/反強磁性体積層膜のスピンダイナミクス計測として、特に、coplaner wage guide(CPW)を用いた強磁性共鳴(FMR)測定を行った。測定対象として、膜面垂直方向の界面磁気異方性と垂直交換磁気異方性を有する[Pt/Co]20/Cr2O3/Pt薄膜を用いた。CPW-FMR法を用いることで、明確な強磁性共鳴シグナルを検出することが出来た。強磁性共鳴周波数の外部磁場依存性について検討した結果、強磁性共鳴周波数は、垂直磁化膜に対して予測される外部磁場強度に対する線形関係を示した。得られた線形関係を、Kittelの式を用いて解析することにより、ランデ g因子2.45、Gilbertダンピング定数0.12と算出された。これらの値は、強磁性/反強磁性界面を含まないPt/Co多層膜に対する報告値とほぼ一致することが分かった。一方、この結果は、本研究で作製した薄膜においては、ランデg因子とGilbertダンピング定数がCo/Pt界面で支配されており、本研究で主眼とする強磁性Co/反強磁性Cr2O3界面のGilbertダンピング定数に対する影響が小さいことを示唆している。このため、強磁性層の総膜厚を低減させることが必要になるが、低膜厚化した薄膜に対する高感度計測を可能にするために、今年度の測定システムの改良が必要であり、今後はCPW構造の最適化、測定感度の向上を基に、より薄い強磁性層膜厚に対する計測を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、強磁性層/反強磁性層積層膜に対する膜面垂直磁場印加下でのCPW-FMRシグナルの検出に成功している。今後は、測定感度の向上と共に、強磁性層/反強磁性層界面の影響を強くした系でのダイナミクス計測を進める。
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今後の研究の推進方策 |
CPW上(あるいは、CPW直下)への強磁性層の微細加工を進めると同時に、CPWの線幅、長さ、導入電力の最適化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度には、CPWを用いたFMR測定のために試料作製の20枚の試料作製を予定していたが、現時点でのFMRシグナルの検出が当初予定よりも少ない試料数で可能になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
より高感度な測定のために、試料の微細加工を進める。平成26年度には微細加工なしでの試料を用いた計測を進めたが、この発展に寄る必要となる試料数が倍増することが予測されるため、前年度分のみ使用額により、より多くの試料作製に充てる。
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