強磁性層/反強磁性層積層膜のスピンダイナミクスとして、反強磁性体として電界応答可能なCr2O3薄膜を用いたパルス電圧による反強磁性スピン反転ダイナミクス、ならびに、CPW-FMR法を用いたCr2O3層上のCo/Pt垂直磁化多層膜の強磁性共鳴測定を行った。前者は、印可磁界-10 kOe、印加電界-1750 kV/cmの条件において、反強磁性スピン反転に要する時間は数百ナノ秒であることを明らかにし、後者の測定により強磁性共鳴周波数は数十GHzであることを明らかにした。これらの結果から、反強磁性スピン反転過程は、反強磁性磁壁の移動によって支配されていることを示唆した。
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