研究実績の概要 |
[1] ワイドバンドギャップ結晶の合成と極端紫外励起によるSTE生成と分光評価 ワイドバンドギャップ材料として、ホウ酸塩LaSc3(BO3)4(LSB),YSc(BO3)2(YSB),LuSc(BO3)2(LuSB)多結晶, Li+/B3+組成比1/2の1/3Li2O-2/3B2O3 (LTB)ガラス),Li2B4O7 (LTB) 結晶,及びLi+/B3+ 組成比1/3の1/4Li2O-3/4B2O3 (LBO)ガラスとLiB3O5 (LBO) 結晶,SrO-2B2O3(SBO)ガラスを合成し分光評価した。LSB,YSB,LuSBの極端紫外励起の発光の温度変化から3つ、2つ、1つの自己束縛励起子の安定構造が生じることを見出した。また、バンドギャップの2倍以上のエネルギーをもつ励起で,2重励起子の生成可能性を見出した。LTBガラスでは自己束縛励起子ト欠陥による発光が見られるが,LBOとSBOガラス自己束縛励起子の発光は見られないことが分かった。 [2]ナノホールアレイ構造の2次元フォトニック結晶の作製と構造評価 集束イオンビーム(FIB)エッチングによりSBOガラス表面に3種のdose量で,直径160nm、周期220nmの3角格子のホールアレイを形成したホール形成数(ドット数)は1ホール当たりのdose量及びホールドット数が,5×107ions /hole、5×6、11×11ドットで、ほぼ真円で深さ183nmのホールが形成された。また、Y字導波路を作製しシミュレーションにより、不完全フォトニックバンドギャップが形成されることが示唆された。自己束縛励起発光するLTB,LBO結晶表面にフェムト秒レーザーアブレションで形成したナノホールの形状と深さの出力依存を検討した。ホール形状は結晶とガラスでは異なること、深さはLTBガラスと結晶が浅くLBOガラスと結晶は深くなることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LaSc3(BO3)4(LSB),YSc(BO3)2(YSB),LuSc(BO3)2(LuSB)多結晶について、極端紫外励起による自己束縛励起子の多重安定構造の形成とその温度依存を明らかにしたこと、バンドギャップの2倍以上のエネルギーでの励起で2重励起子の生成の可能性を示唆する結果を得られ、この結果これらの材料で2重励起子の生成と2光子発光の有力材料となることが挙げられた。今後、LSB単結晶を中心に、FIBあるいはレーザーアブレーションで2次元フォトニック構造を作製し、SrO-2B2O3ガラスで2次元フォトニック構造作製可能性が出てきたことから、さらに、極端紫外励起の分光の温度変化から自己束縛励起子の生成が予測される同組成のSrB4O7(SBO)結晶で2次元フォトニック構造による2重励起子の生成可能性が予測される。
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今後の研究の推進方策 |
[1]極端紫外励起分光評価による多重自己束縛励起子(MSTE)の生成材料の検討 LaSc3(BO3)4,YSc(BO3)2, LuSc(BO3)4、SrB4O7結晶を中心にバンドギャップエネルギーの紫外フォトン(160~300nm) 励起とバンドギャップエネルギーの2倍以上の極端(真空)紫外フォトン(50~200 nm) 励起での発光・励起スペクトルの分光特性と温度依存から2重自己束縛励起子(MSTE) の生成するかを明らかにする。 [2]2次元フォトニック結晶の作製と構造最適化 上記の自己束縛励起子による発光材料に対して、光学特性からシミュレーションよりフォトニックバンドギャップを生じるホール径、ホール周期をもつ2次元フォトニック構造を最適設計するとともにフォトニック結晶の周期性とバンドギャップ及び光の局在モードの準位の相関を明らかにする。この結果を基に、フェムト秒レーザーアブレーションまたはFIBエッチングにより単結晶表面に、正方あるいは3角格子のナノホールアレイ構造とそれらに欠陥を導入した2次元フォトニック結晶を作製する。作製したナノホールの形状、深さをFE-SEMおよびFIBで観察し、最適加工条件を決定する。 [3]2次元フォトニック結晶の分光評価 : 2重励起子の生成と自己束縛発光増幅 作製した低次元(2次元)フォトニック結晶について、バンドギャップの2倍以上の高エネルギーフォトン(極端紫外光)励起による2重励起子生成と2光子発光の実証を行う。
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