研究課題
本申請研究ではナノ計測と理論計算を複合利用して,SiO2,Al2O3ガラスに代表される非晶質材料ガラス内におけるドーパントの分布や,分相をナノレベルの空間分解能で明らかにすることを目的としている.具体的には,系統的にHAADF-STEM像観察と像シミュレーションを行い,非晶質中の元素を可視化するための最適条件(試料厚さ,電子線収束角,HAADF結像角,フォーカス,原子番号差など)を決定する.さらに,複数の元素を添加した系について原子分解能ELNES測定を行い,重元素だけではなくAlやPなどの軽元素の分布も原子分解能で明らかにするとともに,ELNESの微細構造のシミュレーションを用いて軽元素と重元素間に働く相互作用を調べる.以上のような最新の計測と計算法を非晶質ガラスに適用し,非晶質材料中に存在する個々の添加元素(重元素および軽元素)の分散状態と局所環境を原子分解能で調べ,それら添加元素近傍の局所環境を制御するための指針を得ることを目的としている.平成27年度においては,SiO2-Al2O3ガラス,Al2O3-Ta2O3ガラス,SiO2-Bi2O3ガラスについて,原子分解能走査透過型電子顕微鏡を用いてドーパントの分散状態と相分離状態を調べた.さらに,ELNES計測と理論計算を複合利用することにより局所的な配位環境や化学結合の解析を行った.その結果,ガラスの配位環境を原子分解能で可視化することに成功した.さらに,重元素を低濃度添加したガラス試料において,2原子クラスターや3原子クラスターの分散状態を明らかにした.また,ドーパント濃度を上昇させたガラス試料の観察も行い,重元素ドーパントのネットワーク状態を可視化することに成功した.以上の研究で得られた知見をもとに添加元素近傍の局所環境を制御するための指針を得ることが出来ると期待している.
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