研究課題/領域番号 |
26630308
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
篠崎 和夫 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (00196388)
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研究分担者 |
櫻井 修 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (20108195)
塩田 忠 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (40343165)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱放射率可変材料 / 宇宙機 / La(Sr,Mn)O3 / 金属-絶縁体相転移 / スパッタリング法 / 化学溶液堆積法 |
研究実績の概要 |
本研究では優れた熱放射特性を示す数μm程度のLal-xSrxMn03(LSMO)薄膜をスパッタリング法およびCSD法で、高熱伝導性大面積基板(Si)上に直接形成し、LSMO中のMnの原子価の制御による金属/絶縁体相転移温度、すなわち、薄膜の熱放射率を制御し、優れた人工衛星用熱放射率可変素子(Smart Radiation Device)を製作することを目的とする。 (1) スパッタリング法によるLSMO 薄膜の試作: 現有のRFスパッタリング装置を用いて、Si基板上に製膜を行い、結晶化、相転移挙動に与える組成の影響、アニールの影響について検討した。その結果、アニールによって相転移温度を高くなった。また、Sr量を増やすことで相転移温度が高温側にシフトする現象が得られた。前者は酸素欠損のアニールによる回復の影響と考えられ、これらの結果はいずれもOを介したMnイオン間の二重交換相互作用によって説明できる。 (2) 化学溶液堆積(CSD)法によるLSMO 薄膜の試作: Si基板上に6wt%MOD溶液をスピンコートすることで、単一相で緻密なLSMO薄膜を作製した。成膜条件の最適化を行った結果、熱分解温度:500~530℃/10min、結晶化処理温度:750℃/30min以上のときに結晶化度および飽和磁化の値が最大となるLSMO薄膜が得られた。さらに、LSMO薄膜が基板から受ける応力について検討した結果、製膜条件による相転移温度の大きな影響は見られなかった。これらのLSMO薄膜の放射率を測定した。低温域と高温域における放射率差は同一組成の焼結体とほぼ一致し、PLD法により見いだした結果と同等な結果を得た。 (3) 雰囲気熱処理装置の試作と薄膜の雰聞気熱処理とその解析: 本年度は、(1),(2)について条件検討に手間取ったことから、雰囲気熱処理装置の試作は平成27年度に行う事とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スパッタリング法、化学溶液堆積法による製膜の条件探索にかなりの時間を要したため、酸素分圧制御によるMn価数の制御実験のための酸素分制御装置の試作の時間的な余裕を見いだすことができなかった。このため、この部分は平成27年度の検討課題とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究進捗状況でも述べたように、平成27年度に予定している酸素分圧制御による相転移温度制御に関する実験に関する装置試作を平成27年度に繰り越した。しかしながら、装置試作に関する原理的な困難性はなく、全体計画自体の変更等は不要と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
スパッタリング法、化学溶液堆積法による製膜の条件探索にかなりの時間を要したため、酸素分圧制御によるMn価数の制御実験のための酸素分制御装置の試作の時間的な余裕を見いだすことができなかった。このため、この部分は平成27年度の検討課題とした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に平成26年度に試作できなかった酸素分圧制御装置を製作するが、当初研究計画に全体の変更は行わない。、
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