電子誘電体の一種であるRFe2O4(Rは希土類、In)は圧電性や強誘電性を示すことが示唆されているが、機構の詳細は不明な点が多い。本研究では、単結晶YFe2O4およびTmFe2O4を対象に、圧電応答顕微鏡を用いて相転移挙動を解明することを目的とした。誘電分極と電圧の関係において室温から80℃までは強誘電体に特徴的なヒステリシスカーブが観察され、電圧と歪みの関係では圧電体に特有のバタフライカーブが見られたが、90℃ではこれらは消失して常誘電体的な挙動が観察されたことから、相転移温度はいずれの化合物においても80~90℃付近にあることが示された。
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