研究課題
本研究課題では、角度依存性の小さい構造色材料の高機能化と実用性向上を目指し、コロイドアモルファス集積体による構造色材料の構築に取り組んできた。最終年度である平成27年度は、前年度から実施している「フォトクロミズム特性を有する構造色構築」について、SiO2-TiO2コア-シェル粒子を用いたコロイドアモルファス集積体の構築に引き続いて取り組むとともに、「泳動電着法を用いたコロイドアモルファス構造色塗装法の開発」について主に取り組んだ。まず、様々な粒径の単分散シリカ粒子の分散液を用い、インジウム-スズ酸化物(ITO)膜付透明電極基板に電気泳動電着を行ったところ、アモルファス状態で集積した粒子堆積膜が得られた。次にシリカ粒子分散液に少量のカーボンブラックナノ粒子を添加し、同様の泳動電着を行った。これによって得られた粒子堆積膜は構造色を呈するコーティング膜となることが分かった。その発色状態はカーボンブラックナノ粒子の添加量で変化し、その添加量には最も鮮やかに発色する最適値があることが分かった。また、この構造色は用いるシリカ粒子の粒径を変えることによって発色する構造色が青や緑、赤などと自在に制御することが可能であることも分かった。これら得られた構造色コーティング膜について様々な角度で反射スペクトルを測定したところ、その構造色の角度依存性はコロイド結晶の構造色と比較して小さいことが明らかとなった。また、この泳動電着による構造色コーティングは平板基板のみならず、フォークのような複雑な形状を有する基材に対しても可能であることも明らかとなった。以上のように、「灰色の塗料」から多彩な色の塗装を電着によって実現することに成功した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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