研究課題/領域番号 |
26630331
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
手嶋 勝弥 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (00402131)
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研究分担者 |
是津 信行 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (10432519)
我田 元 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (40633722)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | フラックス / 結晶育成 / 機能性複合材料 / 蓄電池 / 活物質 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,萌芽研究の基盤技術確立と位置づけ,ガラスフラックス中での酸化物結晶粒子を育成し,本研究の妥当性を証明することに注力した。特に,LIB用活物質/固体電解質をモデル材料に据え,社会実装を見据えた研究を推進した。 具体的には,Li3BO3単独あるいはLi3BO3-Li4SiO4混合物をフラックスとして用い,LIBの正極活物質として知られるLiCoO2結晶粒子を育成した。Li2CO3やCo3O4などの原料粉末を溶質源とし,Li3BO3粉末(あるいはLi3BO3-Li4SiO4混合物粉末)をガラスフラックスに用いることで,自形の発達したLiCoO2結晶が得られた。LiCoO2結晶粒子とフラックスはとても良好な界面を形成し,異相が存在しないことを確認した。この界面を透過型電子顕微鏡にて詳細に分析したところ,結晶最表面は良く配列した原子からなっていた(良好な格子像)。ガラスフラックスを温水で溶解してLiCoO2結晶粒子を分離し,それをLIB用正極活物質として用いて電池特性を評価したところ,市販のLiCoO2粒子や通常のフラックス育成したLiCoO2結晶粒子と同程度の充放電特性を発現することを確認した。このように,さまざまな分析・解析を通じて,得られたLiCoO2結晶粒子が高品質であるとわかった。さらに,正極活物質の一種であるLiMn2O4結晶粒子のガラスフラックス育成を試みたところ,LiCoO2結晶粒子同様,高品質で優れた電池特性をもつ結晶粒子を得られることがわかった。 引き続き,正極活物質のガラスフラックス育成で得られた知見をもとに,負極活物質のLi4Ti5O12や固体電解質のLi5La3Nb2O12やLi7La5Zr2O12のガラスフラックス育成を実施した。その結果,結晶育成条件を適切に設定することで,いずれの場合もフラックス育成の特長を備えた結晶粒子を育成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた平成26年度の研究実施内容をすべて実現できただけでなく,次年度予定していた研究内容も一部実現するに至った。さらに,得られた材料が理論値に近い性能を発現できたこともきわめて高い評価に値する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおりに研究を遂行できており,引き続き,実施計画に沿った研究展開を推し進める。得られたLIB用材料の性能が良好なため,実装研究に展開できるような研究課題を追加する(基盤研究として提案できるように深耕する)ことを視野に入れる。
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