研究課題/領域番号 |
26630336
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
兵頭 健生 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (70295096)
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研究分担者 |
清水 康博 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20150518)
上田 太郎 長崎大学, 工学研究科, 助教 (10524928)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 酸価 / センサ / オイル / イオン交換膜 |
研究実績の概要 |
一般的に,工業用油が劣化し様々な不純物が生成してくると,それを使った様々な機械・機器の性能が劣化したり故障を誘発する原因となる。現在は,油中の酸価を確認するために「滴定法」が用いられているが,煩雑で時間がかかるといった問題点がある。そこで,本研究では,それに替わる迅速に酸価を評価可能なセンサの開発を試みた。プロトンを定性・定量可能な電極の表面にある種の高分子膜をコーティングすることで,酸価に対応する応答をすることを確認した。ただし,その挙動は,現在のところ,油の種類に大きく依存する。すなわち,通常の機械油と生分解性油では,劣化前の基本的な各種物性が異なるだけでなく,劣化した際の粘度などの物理的変化や酸化状態などの化学的変化が大きく異なることから,本研究で開発している高分子膜をコーティングした電極で各種油を評価すると,それらの特性に対応した応答特性が得られるようである。本研究で得られた結果の一部は,以下のとおりである。 1.劣化前の機械油は,劣化前の生分解性油に比べて,センサ応答値は大きい。それは,酸価の変化に対応した。 2.劣化後の機械油のセンサ応答値は大きく変化する。その変化量は,酸価値の変化量に比べて大きい。 3.劣化後の生分解性油のセンサ応答値も大きく変化するが,その変化量は,酸価地の変化量とほぼ対応する。ただし,その挙動は生分解性油の質的な違いによってもセンサ応答値の変化は異なる。 4.高分子膜の膜厚を調整することで,そのセンサ応答値の応答挙動に大きく影響する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高分子膜の膜厚を制御することで,そのセンサ応答値の応答挙動をコントロールできることを確認した。また,ある種の添加物を添加すると(比較的プロトンにセンシティブな材料に限る),その応答スピードを改善することができた。さらに,油の酸価とセンサ応答値とをある程度対応させることに成功した。 以上のことから,おおむね本研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,高分子膜の化学的特性,物理的特性を大きく変化させるために,1.イオンにセンシティブなセラミックスとの複合化,2.イオンにセンシティブな有機物との複合化,を行いつつ,その構造を制御することで,センサ特性を改善する。 なお,現在のところ,論文・発表・特許などはないものの,それらの公開に向けて準備を進めているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品(消耗品)が,若干,安く購入できてしまったために生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
物品(消耗品)の購入費として当てる所存である。
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備考 |
現在のところ,Webでの詳しい研究成果を公開できない状況である。今後,特許など問題が解決次第,順次公開していく予定である。
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