研究課題/領域番号 |
26630340
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小原 良和 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90520875)
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研究分担者 |
山中 一司 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (00292227)
辻 俊宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70374965)
三原 毅 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20174112)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非破壊検査 / 非線形超音波 / コンクリート / 閉じたき裂 / フェーズドアレイ / 欠陥検出 |
研究実績の概要 |
高度経済成長期に建設されたインフラ(トンネル、橋梁等)の経年劣化が社会問題となっているが、その安全性保障のための非破壊検査において、「閉じたき裂」は最難関課題だった。これまで、我々は閉じたき裂の映像法(subharmonic phased array for crack evaluation: SPACE)を開発し、金属試験片でその有効性を実証してきた。しかし、インフラの大半を占めるコンクリートは金属より遥かに不均質で高減衰のため、超音波の伝搬・散乱挙動が極めて複雑であり、これまでのMHz帯域のSPACEでは検査できない。そこで本研究では、コンクリート構造物の閉じたき裂の低周波非線形超音波映像法を創出することを目的とする。本年度は下記2項目を遂行した。
[1] 低周波送信探触子の設計・試作とレーザ振動計スキャンによる評価:昨年度は基礎的検討として受信に高額なレーザ振動計スキャンを用いていた。そこで本年度は、現場への適用性を考慮し、送受信可能な探触子の設計と試作を行った。素子からの音場だけではなく、電気インピーダンスも考慮しながら素子サイズを設計した。さらに、レーザ振動計による計測により、不感帯の原因も検討し、その低減にも成功した。その結果、大型の鉄鋼試験片において、これまでは観察できなかった底面エコーを明瞭に観察できることを確認した。尚、これらの探触子作製は平成28年度以降も継続する。
[2] 映像化アルゴリズムの構築:試作した探触子を用いて、映像化の基本性能を確認した。その結果、昨年度までは高額なレーザ干渉計が必要だったが、今回は送受信同一の探触子での計測ができる目途が立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
「低周波送信探触子の改良」を引き続き遂行するとともに、より現場に近い試験片での実証試験を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、初期設計に基づき低周波探触子を大量に作製しアレイ化を行う予定だったが、平成27年度に低周波送受信探触子の設計改良を続けた結果、当初の想定以上に大幅に性能が向上した探触子を試作できる目途が経った。そこで、改良された設計に基づき、次年度探触子を大量に試作し、アレイ化することで、当初の想定より高性能なアレイ探触子を実現できると考えられることから、探触子の大量作製を次年度に行うこととした。未使用額はその経費に充てることとしたい。
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次年度使用額の使用計画 |
アレイ探触子作製の経費に使用する予定である。
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