研究課題/領域番号 |
26630341
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80323096)
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研究分担者 |
矢代 航 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10401233)
和田 武 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10431602)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 金属ガラス / インプリント成型 / 回折格子 |
研究実績の概要 |
平成26年度はPd基金属ガラスおよびGd基金属ガラスのインプリント性の基礎的評価を行った。 Pd基金属ガラスは高い熱的安定性を有し、粘性流動特性などの基礎データが既に明らかにされている。それらを基にして、Pd42.5Cu30Ni7.5P20金属ガラスを10K/sの加熱速度において、10kNの荷重を負荷することで、幅8ミクロン、高さ30ミクロン(アスペクト比が3.5)のインプリント加工ができた。 一方で、Gd基金属ガラスはPd基金属ガラスに比べて熱的安定性が低く、粘性流動特性の基礎データがほとんど調べられていない。従って、Gd基金属ガラスにおいてはインプリント加工に適する熱的安定性と粘性流動特性を有する合金の組成探査から始めることにした。様々な組成のGd-Al-(Co,Cu,Ni)金属ガラスを作製し、熱分析により過冷却液体温度域や結晶化潜伏時間を測定した。また、熱機械試験により過冷却液体の粘性率を測定した。これらに基づいて各組成の金属ガラスの成型性(formability)を計算した結果、Gd60Cu25Al15の合金組成の成形性が最大となることが予想され、次のインプリント試験に用いることとした。幅5ミクロン、深さ18ミクロンの溝が周期的に加工されたSi型にGd金属ガラスリボン(5mm×5mm)を押し当て、300℃まで加熱した後、1000Nの圧縮荷重にてインプリント加工した。その結果、高さ18ミクロン、幅5ミクロン(アスペクト比が3.6)の縞状格子が均一に成形されており、高さ、幅ともにシリコン型を完全に転写することができた。 このようにPd基およびGd基両金属ガラスにおいてインプリント加工できることが確認できたので、平成27年度以降はスパッタ装置や高速加熱高荷重インプリント装置を利用して、転写の高アスペクト比・大面積化を図り、実寸の回折格子を試作してイメージング試験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Pd基金属ガラスおよびGd基金属ガラスの最適インプリント加工条件の導出、スパッタ装置による大面積金属ガラス膜の作製条件を明らかにすることができており、概ね研究計画を達成することができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究において、Pd基およびGd基両金属ガラスにおいてインプリント加工できることが確認した。平成27年度以降はスパッタ装置や高速加熱高荷重インプリント装置を利用して、転写の高アスペクト比・大面積化を図り、実寸の回折格子を試作してイメージング試験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は主に小型試験片を用いたインプリント性の評価や、スパッタ成膜の条件探査等の基礎研究を中心に行ったため、地金等の消耗品の消費が見込みよりも少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27度初期においてスパッタ装置を用いた大面積金属ガラス試料作製を計画しており、このために貴金属(Pd,Pt)や希土類(Gd)等の高価金属合金のスパッタターゲット作製用地金購入、ターゲット加工、成膜基板購入などに使用する予定である。
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