研究課題
平成26年度は、Gd60Cu25Al15金属ガラスを用いて、一定温度において結晶化潜伏時間内にインプリント加工を完了し、ガラス相を維持したまま格子を得るため条件探査を行っていた。この結果、ピッチ5ミクロン、高さ18ミクロンの格子の作製に成功していた。中性子を用いたタルボ・ロー干渉計によるイメージングでは、格子がガラス構造か結晶構造であるかは中性子の吸収にあまり影響しないことを考慮して、平成27年度は結晶化を許容することで、最大の深さのインプリント加工ができる条件を探査した。その結果、あらかじめ100 MPaの圧縮応力を付加し、10℃/秒の高速でガラス相の結晶化温度を上回る約700 Kまで昇温すると、ガラス遷移温度到達直後から粘性流動変形が開始し、ガラス相の結晶化が完了するまで変形が継続し、インプリント加工深さが最大となることが明らかになった。この加工条件を用いることでピッチ9ミクロン、高さ約30ミクロンの回折格子が得られ、平成26年度に用いていた一定温度条件の場合に比べてインプリント深さを増大させることができた。本研究で開発したGd合金格子を用いて中性子線イメージング試験を行った。試料にはアルミニウムを用いた。アルミニウムは中性子線をほどんど吸収しないため、吸収コントラスト像では試料を観察することができなかったが、本研究で開発したGd合金格子を組み込んだタルボ・ロー干渉計による微分位相コントラスト像ではアルミニウム試料を明確に観察することができ、インプリント法で作製したGd合金が中性子線イメージングに利用できることを実証した。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 55 ページ: 048003 (3pages)
http://dx.doi.org/10.7567/JJAP.55.048003