6H多形のSiC単結晶を唯一のすべり系である底面aすべりが活動する方位で圧縮すると,バルクでは最低でも1000℃の変形温度が必要であるが,ミクロンオーダーのマイクロピラー試験片では5 GPa程度の非常に高いCRSS値を伴って室温でも底面aすべりの活動が可能である.試験片サイズをサブミクロンオーダーまで小さくしても,そのCRSSは殆ど試験片サイズに依存せず一定値を示すことである.遷移金属シリサイドでも同様に低温変形能が観察された.これらの事実は,(1)バルクとは異なる新規で特異な変形機構が低温(室温を含む)で働いており,(2) このCRSSは転位の核生成応力そのものである可能性を示唆している.
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