アルミニウムや銅等はイントリンジックに延性的であるが,結晶粒径を極端に小さくすると,脆性的な破壊挙動を示すようになることが知られている.エクストリンジックに脆性的になった延性金属のナノ結晶材に関しては,強度や破壊靭性値の試料サイズ依存性があるかどうか明らかではない.研究代表者らは,パルス電析法により作製したナノ結晶銅の微小試料の圧縮試験および曲げ破壊試験を行った結果,34 nmまで結晶粒径を小さくすると,転位運動が困難になり粒界すべりが主たる変形機構となり,強度のサイズ依存性を示さなくなること,およびバルク材では曲げ変形により脆性的破壊を生じるが,微小試料では延性的になることを明らかにした.
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