研究課題/領域番号 |
26630348
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安田 弘行 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60294021)
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研究分担者 |
永瀬 丈嗣 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (50362661)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 格子欠陥 / 構造・機能材料 / ハイエントロピー合金 / 転位 |
研究実績の概要 |
fcc構造の高濃度固溶体を形成する高エントロピー合金の変形挙動の解明を目的として、平成26年度は光学式浮遊帯域溶融(OFZ)法による単結晶の作成、およびその組織の評価に主眼をおいて研究を行った。その結果、CoCrFeNiAl0.3合金について、OFZ法により、直径6mm程度、長さ30mm程度の単結晶作製に成功した。さらに、育成時のネック形成が単結晶作製に有効であることが明らかとなった。得られた結晶の組成をSEM-EPMAならびに湿式分析で測定したところ、配合組成からのずれはわずかであるとともに、結晶内の組成はほぼ均一であることが確認された。TEMにより内部組織を観察したところ、fcc構造を有する高濃度固溶体が形成されていることが確認された。ただし、電子線回折図形に散漫な散乱が認められたことから、この点については今後調査が必要である。得られた結晶を背面反射ラウエ法で方位解析した後、適切な荷重軸方位を有する圧縮試験片を切り出した。得られた試験片について、-180℃~1000℃の温度範囲で圧縮試験を実施した。その0.2%耐力は温度の上昇とともに単調に減少したが、600℃ならびに800℃では動的歪時効に特有のセレーションが観察されるとともに、歪速度感受性指数が負の値を示した。その原因について、Al原子が溶質原子として振舞うことにより、動的歪時効が発現することが示唆された。さらに、CoCrFeNiAl0.3合金単結晶の変形組織は極めて平面的であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高エントロピー合金は5つ以上の元素を含む高濃度固溶体であり、その単結晶の作製は困難であると考えていたが、実際には、平成26年6月頃には、サイズは小さいものの単結晶作製に成功し、平成26年度は予定していなかった変形挙動の調査についてもある程度遂行することができた。このため、平成27年3月には、日本金属学会にてその成果を発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、高エントロピー合金の変形挙動の本質に迫る。具体的には、CoCrFeNiAl0.3合金単結晶について、平成26年度に前倒しで実施した圧縮試験に加え、引張試験による変形挙動の調査を、降伏応力、臨界分解せん断応力、加工硬化、延性等に注目して行う。さらに、変形挙動の方位依存性、変形挙動の熱活性化過程、変形後の転位組織について、詳しく調査を行う。加えて、TEM、SEM-EBSD等により変形中の組織変化をその場観察することで、高エントロピー合金の変形挙動の本質を捉える。特に、平成26年度に観察された平面的な転位組織がどのように形成されるかについて、その場観察法を駆使して解明する。なお、平成27年度は、CoCrFeMnNi合金についても、単結晶作製、変形挙動解明に取り組む。以上の研究を通じて、高エントロピー合金単結晶の変形挙動の本質を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定以上に高確率で単結晶作製に成功し、原材料の使用量が少なくなった。このため、原材料の購入にかかる費用が少なくなり、未使用分が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用分は、原材料の購入等、研究計画に合わせて翌年度以降に使用する。
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