高分子膜表面への金属膜形成は、基礎研究から産業面で幅広く行われており、主に真空蒸着時にマスクを用いる手法が使用されている。ただし微細なパターン形成や大面積化が難しかった。本研究では、溶媒蒸発法とマスクレス蒸着を用いた新しい金属パターン作成法を開発した。高分子表面に有機溶媒を塗布すると、溶媒分子は表面を膨潤し蒸発する。この時に表面の高分子鎖間に隙間が出来、分子鎖の運動状態が活発になる。これに金属蒸気を堆積すると、金属原子は活発な分子運動の影響で表面から離脱し、堆積しない。この原理は数種類の高分子半導体材料や金属種に対して確認され、また10ミクロンレベルの微細パターンも可能であることが実証された。
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