一般に面心立方(FCC)構造をもつ金属は低温脆化を引き起こさないため,オーステナイト系ステンレス鋼は低温用材料として広く使われている.しかし,この種の材料はNiを多量に含んでおり,近年の価格高騰などから窒素をNiの代替としたNiフリー高窒素オーステナイト鋼が注目されている.元来,FCC金属は低温脆性を示さないと考えられてきたが,高窒素添加オーステナイト鋼は変形温度の低下に伴って脆化し,いわゆる延性―脆性遷移挙動を示す事が報告されている.そのような中,本研究ではFCC金属における延性―脆性遷移挙動のメカニズムを明らかにした.
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