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2014 年度 実施状況報告書

白色干渉法による破壊過程のマイクロ/ナノスケールその場観察法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26630354
研究機関熊本大学

研究代表者

高島 和希  熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60163193)

研究分担者 峯 洋二  熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (90372755)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード構造・機能材料 / マイクロ破壊試験 / 機械的性質 / 破壊 / き裂伝播
研究実績の概要

金属材料の破壊におけるき裂伝播の素過程は、き裂先端における局所的な変形に基づいており、そのメカニズムを解明するためには、き裂先端の微小領域における変形挙動を観察する手法の開発が求められている。本研究では、材料表面においてナノメータレベルで変位計測が可能な白色干渉計測技術を用いることで、世界で初めて金属材料のき裂伝播に伴うき裂先端の局所的な微小変形挙動を、大気中でその場観察できる装置の開発を行う。
微小材料試験機ならびに白色干渉計は現有設備を使用し、破壊試験を行うために、切欠を導入した片持ち梁微小試験片に対して曲げ負荷が行えるように装置の改良を行った。さらに、動的(その場)観察を行うために、画像(動画)計測系の改良も行った。計測装置の性能及び計測データの妥当性を検証するために、これまで研究代表者らが引張計測を試みてきた厚さ10μmの金テープを用いた。まず、収束イオンビーム加工機を用いて、金テープから微小片持ち梁試験片を作製した。この試験片に同じく収束イオンビーム加工機を用いて、切り欠きを導入した。また、EBSDを用いて切り欠き先端部に存在する結晶粒の方位の同定をあらかじめ行った。この試験片に対し、開発した微小材料試験機を用いて、曲げ破壊試験を行い、切り欠き先端部の微小変形挙動を白色干渉計を用いて観察した。
負荷に伴い、切り欠き先端の応力集中部にすべり線が観察され、負荷とともにその領域が拡大した。また、すべり線が観察される塑性変形領域の形状は、破壊力学に基づいて推定される形状と等しいものであった。さらに、すべり線のトレース解析を行った結果、金のすべり面である(111)であることが確認された。加えて、き裂の発生、伝播過程もその場観察することができた。以上のように、本装置を用いることで、き裂伝播に伴うき裂先端の局所的な微小変形挙動を、大気中でその場観察できることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の目標である金属材料のき裂先端の局所的な微小変形挙動を、大気中でその場観察できる装置の開発を行うことができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は、開発した装置を用いて、局所的な破壊メカニズムが知られていない材料として、階層的な組織を有するラスマルテンサイト組織鋼の破壊挙動を計測する。ラスマルテンサイト組織は、鋼の重要な強化メカニズムであるにもかかわらず、その破壊メカニズムの解明が遅れている。そこで、本組織から微小破壊試験片を切り出して破壊試験を行うとともに、き裂伝播挙動の解明を行う。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度においては、試験機改良のための経費が当初計画より少なく実施できた。また、マイクロ試験片の作製も計画より少なくても十分な成果を挙げることができた。加えて、情報収集のための出張に関しては、関連研究者とのメールによるやり取りに変更することで、予定より少ない回数で同様の効果を得ることができた。そのため、次年度使用額が生じたが、これについては次年度へ繰り越して使用することとした。

次年度使用額の使用計画

平成27年度においては、本格的なマイクロ材料試験を実施するため、試験片作製本数が増加するとともに、解析用データも大幅に増加するため、試験片作製及びデータ解析の費用として使用する。さらに、成果発表のための出張を行うための旅費として使用する予定である。これにより、2年間の研究をより効率的に行うことが可能となる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [学会発表] マルテンサイト系ステンレス鋼の変形挙動に及ぼす含有オーステナイトの影響2015

    • 著者名/発表者名
      川島賢士、峯洋二、高島和希
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第169回春季講演大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-20
  • [学会発表] Microtension Behavior of Single Crystals with Mechanical Twins in Stable Austenitic Stainless Steel2014

    • 著者名/発表者名
      Y. Mine, S. Nakamichi1, K. Koga, K. Takashima1, Z. Horita
    • 学会等名
      2014 MRS Fall Meeting
    • 発表場所
      BOSTON (U. S. A)
    • 年月日
      2014-11-30 – 2014-12-05
  • [学会発表] 変形双晶を有するオーステナイト系ステンレス鋼単結晶のマイクロ引張試験2014

    • 著者名/発表者名
      古賀薫、中道翔生、峯洋二、高島和希、堀田善治
    • 学会等名
      日本金属学会2014年秋期公演大会
    • 発表場所
      名古屋大学東山キャンパス(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2014-09-24 – 2014-09-26
  • [学会発表] 鉄鋼材料を構成する微視組織要素のマイクロ引張挙動2014

    • 著者名/発表者名
      峯洋二, 高島和希
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第168回秋季講演大会
    • 発表場所
      名古屋大学東山キャンパス(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2014-09-24 – 2014-09-26
  • [学会発表] Mechanical characterization of hierarchical microstructure in lath martensite structure using microtension testing2014

    • 著者名/発表者名
      K. Kwak, H. Takashima, Y. Mine, K. Takashima
    • 学会等名
      International Conference on Martensitic Transformations 2014
    • 発表場所
      Bilbao (Spain)
    • 年月日
      2014-07-06 – 2014-07-11
  • [備考] 熊本大学大学院自然科学研究科マテリアル工学専攻先端材料研究室

    • URL

      http://www.msre.kumamoto-u.ac.jp/~sentan/

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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