研究課題/領域番号 |
26630364
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平藤 哲司 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (70208833)
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研究分担者 |
三宅 正男 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (60361648)
池之上 卓己 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (00633538)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 薄膜プロセス / 電析 / アルミニウム |
研究実績の概要 |
アルミニウムが水溶液から電析できないことは、電気化学を専門とするものにとっては常識である。本研究はその常識に挑戦し、水溶液からのアルミニウム電析の可能性を検討するものである。アルミニウムが水溶液から電析できない理由として、水素に比べて卑であることが挙げられるが、同様に卑な亜鉛やマンガンは、水素ガスの共析を伴うものの、純金属が析出することから、これだけでは電析できない理由を説明できないことは明らかである。本研究では、水素に比べて卑であること以外の、電析できない理由を明らかにし、その結果に基づき、アルミニウム電析の可能性のある電解液組成を設計し、さらにその電解液を用いて実際にアルミニウム電析を試みることにより、新たなアルミニウム電析プロセスを開発することを目的とする。 まず、アルミニウムをニッケルとの合金として電析させることを目指し、AlCl3, NiCl2 および有機酸を含む酸性水溶液を用いてハルセル試験を行った。その結果、浴温60℃以上、400 mA cm-2 の高電流密度領域で、アルミニウムとニッケルを含有する電析膜が得られた。電析浴組成を変えて同様の試験を行った結果、電析膜中のアルミニウム含有率は有機酸の濃度の増大とともに増大することが明らかとなった。EDX による組成分析では、電析膜中のアルミニウムの存在が確認されたが、XRD による分析では、単体 Al または Al を含む化合物の回折ピークは検出されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ハルセル試験により、様々な電解液中での広範囲の電流密度における電析挙動を明らかにすることができている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ハルセルを用い、アルミニウムの電析に有効な添加剤の探索を行う。その結果に基づき、定電位または定電流電解を行い、得られた電析物について、形態の評価、相同定等の評価を行う。また、添加剤を加えた水溶液中でのアルミニウムイオンの水和状態の評価を行う。これらの結果を総合的に判断し、金属アルミニウム電析が可能なアルミニウムイオンの溶存状態に関する知見を整理する。これにより、水溶液からの金属アルミニウム電析あるいはアルミニウム合金電析の可能性を評価し、水溶液からのアルミニウム電析の新しい手法を提案する。
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