水溶液から Al-Ni 合金を電析させることを目的とし、AlCl3、NiCl2、および有機酸を含む酸性水溶液を用い、様々な条件下でハルセル試験を行った。電解浴の pHを 0.4~1.6 の範囲で変えて電析を行ったところ、pH の上昇とともに電析物の Al 含有率は高くなった。pH を 1.6 以上にすると、電析時に、カソード表面に水酸化アルミニウムと考えられる白色ゲル状の物質が付着し、金属状の電析物は得られなかった。電解浴中の Ni イオン濃度を 0.05~0.3 Mで変化させて電析を行ったところ、Ni イオン濃度 0.1 Mで最も高い Al 含有率の電析物が得られた。電解浴中の有機酸濃度を0~0.5 Mで変化させて電析を行ったところ、有機酸濃度の増大とともに電析物の Al 含有率は高くなった。有機酸濃度を 0.5 M 以上にすると、浴が凝固した。浴温を 40~80 ℃ で変化させて電析を行ったところ、浴温 40 ℃ ではほとんど電析されなかった。浴温 60 および 80 ℃ で得られた電析物のAl 含有率に有意な差は見られなかった。EDX による組成分析では、電析物中に Al が存在することが確認された。しかし、XRD では、電析物から金属 Ni 相が検出されたものの、Al 単体または Al を含む化合物の回折ピークは検出されなかった。Al を含む化合物は非晶質として析出したことが考えられる。 電析物に対して真空450 ℃ で熱処理を行い結晶化を試みたが、熱処理後もAl を含む化合物の回折ピークは検出されなかった。 水溶液から Al を含有する電析物を得ることができた。しかし、Al の析出形態の解明には、さらなる解析を要する。
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