研究実績の概要 |
動的フェライト変態とはオーステナイトの変形中にフェライト変態が生じる現象である. 動的フェライト変態を含む加工熱処理によって粒径 1μm 以下の超微細粒フェライト組織を得 ることが可能である。本研究の目的は、平衡変態点(Ae3点)以上の温度における動的フェライト変態の発現を、高温変形中のその場中性子回折実験により、世界で初めて直接的に証明することである。 2Mn-0.1C (wt%) 鋼の円柱状試験片に対して加工熱処理シミュレーターによ る熱間圧縮実験を行った. 高温変形時の応力ひずみ曲線の解析より、動的フェライト変態に対応する変形抵抗の減少(軟化)が確認された。また加工・急冷材の詳細な組織観察により、Ae3温度以上の高温においても動的フェライト変態が発現することが証明された。J- PARC で行った熱間加工その場中性子回折実験によって も, 加工中に動的フェライト変態が生じていることを確 認できた. これは、高温変形中の動的フェライト変態を直接証明した、世界で初めての成果である。一方、Ae3点以上の温度における動的フェライト変態の発現に関しては、中性子回折信号の時間分解能の限界から、今回の上記鋼種においては明確な結論を得ることができなかった。
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