研究課題/領域番号 |
26630369
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
真鍋 健一 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10145667)
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研究分担者 |
古島 剛 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (30444938)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロフォーミング / 対向液圧深絞り / マイクロ超深絞り / プレスモーション / 逐次変形 / FEM / 寸法効果 / 再絞り |
研究実績の概要 |
本研究では複雑三次元構造部品の成形に効果の大きい対向液圧成形を利用した温間マイクロシートハイドロ成形技術を基盤として革新的な高度マイクロシートハイドロ成形技術の開発に挑戦するものである。そのため、新たに再絞り法を導入し、パンチの進行とともにフランジ部への周液圧と対向液圧の効果を作用させる複合サーボプレスモーション制御によって、これまで実現が困難であったシームレスの世界最細0.18mmの無痛注射針を超えるマイクロ超深絞り法の開発を目指す。初年度は、本基本成形原理を実現するマイクロ超深絞り装置システムの設計試作と革新プロセスの開発に必要なFEMシミュレーションを行った。 (1)マイクロ超深絞りFEM解析:動的な負荷も考慮して動的陽解法ソフトLS-DYNAを用い、再絞りパンチ直径が0.5mmで、厚さ20ミクロンのSUS304箔材を用いた室温下での上記逐次成形プロセス解析を行った。その結果、再絞り工程で初回絞りパンチをΔsだけ引き上げてパンチとカップ間に隙間を設けそこで対向液圧を負荷して、それらを繰り返す新たなプロセスを考案した。その結果、動的な効果がある場合は直径の10倍以上のマイクロ超深絞りが可能だけでなく、動的効果がない場合でも総絞り比で3.8で、直径の2倍以上の細長い深絞りの可能を示すことができた。今後は最適加工条件の解明が課題である。 (2)マイクロ超深絞り装置システムの設計試作:上記FEMの結果を実証するための装置システムの設計・試作を行った。既設置のマイクロ対向液圧深絞り装置システムに超高圧の負荷が可能で、マイクロ超深絞り用周辺加熱・動的対向液圧制御が可能なシステムに改良した。室温下でシステムの基本動作を確認し種々のマイクロ成形の実験からマイクロ超深絞りの基礎データを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
マイクロ超深絞りの可能性についてFEMシミュレーションを用いて、動的な効果がある場合は直径の10倍以上のマイクロ超深絞りが可能だけでなく、動的効果がない場合でも総絞り比が3.8で、直径の2倍以上の細長い超深絞りの可能性を示すことができた。このように具体的な逐次液圧負荷による革新的な成形プロセスとして示すことができたことは計画以上の進展といえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究でマイクロ超深絞りの可能性を実験で検証することが最も大切である。そのために現在FEMシミュレーションにおいて超深絞りの実現性を最も示している境界条件で、マイクロ超深絞りが実際に実現できるかにかかっている。そこで、すでに開発できているマイクロ超深絞り用装置システムを用いて、実験によるプロセスの最適化を図ることが研究推進上で最も効率的と考える。そこでは実験とシミュレーション結果との細部にわたる比較を行い、成形現象の詳細な分析を通して、より効率的なマイクロ超深絞りの実現を目指す。その上で局部加熱の効果についても並行して検討を進める。
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