研究実績の概要 |
Ti3AlC2およびTi2AlNの粉末を素粉末混合法により作製し、ミリングにより凝集が少なく不純物の少ないMAX相単相の粉末を調整した。ポリエチレンイミン(PEI)を適量添加することにより、固体量25-30vol%のエタノールおよび水系分散サスペンションを調整した。12Tの強磁場中でスリップキャストし、配向した成形体を作製した。400MPaでCIP処理後、パルス通電加圧焼結により高密度の配向体を得た。 Ti3AlC2に関し、水系サスペンションから作製した配向体は、約15vol%の酸化物を含有していたが、曲げ強度1261MPa、破壊靭性14.6MPa/mと高い値を示した。 Ti2AlNについて、3点曲げ強度は, 配向体で964.2±50.4 MPa, 無配向体で727.1±30.1 MPaであった. また, 破壊靭性値K1Cは配向体で7.88±0.63 MPa/m, 無配向体で4.85±0.09 MPa/mであり, 曲げ強度については1.33倍, K1Cについては, 1.63倍となり強度, 靱性ともに向上した. 常温での曲げ強度について, 既往の研究例(4では370MPaと報告されていたが, 本研究では無配向体でも非常に高い強度を示した. 900℃まで, 600 MPa-750 MPa程度の高い曲げ強度を示したが, 1200℃以上では強度が低下した.
|
今後の研究の推進方策 |
Ti2AlN系配向体は、900℃まで 600 MPa -750 MPa程度の高い曲げ強度を示したが,1200℃から転位の移動が活発になり塑性変形が起こった。1200℃以上での強度の低下は塑性変形によるものであり, 物質に依存するものと考えられるため, より高温で使用するためには酸化物の添加による転位の移動の抑制などが今後の課題である. また、作製した配向試料の各配向面について、硬度、曲げ強度、靭性、高温強度の研究を引き続き行うとともに、さらに、摩耗特性、耐酸化性を測定し、結晶方位との関係を検討する。
|